Restart Energy(ルーマニア)、グリーンエネルギーのP2P取引プラットフォームで米国市場に参入 Interlink Capital Strategies(米国)と合弁会社設立 | EnergyShift

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Restart Energy(ルーマニア)、グリーンエネルギーのP2P取引プラットフォームで米国市場に参入 Interlink Capital Strategies(米国)と合弁会社設立

Restart Energy(ルーマニア)、グリーンエネルギーのP2P取引プラットフォームで米国市場に参入 Interlink Capital Strategies(米国)と合弁会社設立

EnergyShift編集部
2021年01月26日

ルーマニアの電力および天然ガスの大手独立サプライヤーの1社であるRestart Energyは、2021年1月11日、米国ワシントンDCを拠点とするファンド、Interlink Capital Strategiesと合弁会社を設立し、ブロックチェーンを活用したグリーンエネルギーのP2P取引プラットフォーム事業で米国進出を果たしたと発表した。

グリーンエネルギーをP2P取引できるREDプラットフォームとは

2015年、ルーマニア西部の都市ティミショアラで設立されたRestart Energyは、3万世帯を超える一般家庭と約5,000の法人顧客に電力と天然ガスを供給する独立系サプライヤーだ。

同社は「世界のエネルギー需要は2030年までに2倍になると予測されており、国連が掲げるSDGsの実現に向け、あるいは限りある資源の中において、世界各国は社会的、経済的、環境的に持続可能な方法で発電をする必要があり、新たなイノベーションを採用しなければいけない」と述べる。

そのため、ブロックチェーンを活用したグリーンエネルギーのP2P取引を可能とする「Restart Energy Democracy(RED)プラットフォーム」を開発し、手頃な価格でグリーンエネルギーを誰でも、どこでも発電し、消費できる仕組みを提供してきた。

REDプラットフォームはRestart Energyのホームマーケットであるルーマニアで2019年から展開を始めており、上述の一般家庭、法人顧客をベースにした顧客基盤を獲得している。

このREDプラットフォームで取引されるトークン化されたエネルギーは、自由化された電力市場がある国であれば、消費者と生産者が世界中でエネルギーを送受信することができるという。さらに、小規模なエネルギー生産者であっても、簡単に、そして直接、消費者へエネルギーを売買することで、地域経済を支援する電力小売りフランチャイズ、「REDフランチャイズ」という仕組みも提供している。

2021年には米国はじめ、日本、中国、オーストラリアなど合計42ヶ国へと参入し、420万ものユーザーにグリーンエネルギーを供給するという、ロードマップを掲げている。

米国におけるREDプラットフォーム事業が本格始動

Restart Energyは2021年1月11日、REDプラットフォームの米国進出、そしてビジネス拡大を目指し、Interlink Capital Strategiesと合弁会社を設立したと発表した。

Interlink Capital Strategiesは、1994年に設立され、ワシントンDCを拠点とする金融、再生可能エネルギーなどに特化したファンドマネージャー、経営コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー企業である。

Restart EnergyとInterlinkは米国進出とともに、ルーマニアとその近隣諸国において、5億ドルのグリーンエネルギーの開発、買収に関しても合意している。Interlinkは、2025年末までにルーマニアにおける500MWの再生可能エネルギープロジェクトを成功させるため、資金を提供する予定だ。

一方、Restart Energyは年間100MWの太陽光発電、風力発電、バイオガス、バイオマス、そして地熱エネルギープロジェクトの買収および開発を計画している。投資額は年間約1億ドルを予定しており、Interlinkはこれらプロジェクトの資金を調達するために、戦略的アドバイザーとしてその役割を果たしていく。

30万人に10億kWhの安価なグリーンエネルギーを提供する

Restart EnergyのCEO兼創業者のArmand Domuţa氏は次のように述べている

「このパートナーシップは、2025年までにルーマニアと欧州の30万の消費者に向け、10億kWhのクリーンで手ごろな価格の再生可能エネルギーを提供するというRestart Energyの目標を加速させるでしょう。

これは、Restart Energyが年間750MN㎏のCO₂のカーボンフットプリントを削減でき、2025年までに顧客に向け100%現地生産されたグリーンエネルギーを提供できる、ルーマニア初の完全持続可能なグリーンエネルギーサプライヤーになることを意味します。同時にRestart Energyの革新的なブロックチェーンプラットフォームをもって米国市場に参入し、成熟した技術志向の市場にアクセスすることができるようになるでしょう」。

Restart Energy CEO Armand Domuţa
Restart Energy CEO Armand Domuţa氏

REDブロックチェーン技術は、米国市場に新たなアプローチをもたらす

InterlinkのマネージングディレクターであるAlan Beard氏は次のように述べた。

「Restart Energyは再生可能エネルギーの供給とマーケティングを技術、ビジョン、目的を通して融合させ、再生可能エネルギーをより利用しやすく、すべての人が利用できるようにする革新的な企業です。

REDビジネスモデルは、再生可能エネルギーの資金調達、生産、消費について新たな、改善されたアプローチを米国にもたらすでしょう。それは再生可能エネルギーへのアクセスを向上させ、最終的に気候変動に対しても利益をもたらすと信じています。

並行して、Restart Energyは欧州において年間100MWの再生可能エネルギーの開発が可能になります。特にドイツやスペインでの事業拡大を目指しており、すでにルーマニアやセルビアにおいて事業展開を始めています」。

このパートナーシップは、スイスを拠点とする持株会社である、Restart Energy Innovative Technologies AG(REIT AG)を通して運営されるという。

 

参照
Interlink Press Release "Restart Energy and Interlink Capital Strategies (USA) announce green energy joint venture" 2021/1/11
Interlink
Restart Energy(英語)

 

(Text:紺野真冬芽)

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