トヨタ自動車グループの研究開発会社である豊田中央研究所は12月8日、太陽光エネルギーを利用して水とCO2のみから有用な物質を作り出す「人工光合成」の技術で、エネルギー変換効率10.5%を達成した。実用レベルとされる10%を超えたことで、脱炭素社会に向けた切り札となることが期待される。
同社は、2011年に世界で初めて、人工光合成反応の原理実証に成功。太陽エネルギーを使ってどのくらい水から水素を作り出すことができるのかについて(太陽光変換効率)は、2011年当時は0.04%だった。実用化には人工光合成セルの太陽光変換効率を低下させずに、さらに大型化することが必要であったが、技術的に困難とされていた。
今年4月には、実用サイズとされる36センチ角の装置で、変換効率を世界最高水準の7.2%に高め、効率は植物を上回った。今回、より多くの太陽光を集めるため、装置を世界最大級とされる1メートル角まで大きくした。変換効率は従来から3ポイント以上高め、世界最高の10.5%を達成した。
効率をさらに向上できるよう研究を進め、今後は耐久性向上やコスト低減などにも注力していく方針だという。
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