脱炭素社会を目指して、山梨県内で産官学が連携して水素エネルギーや燃料電池の事業化が加速している。同県は、山梨大学をはじめとした研究拠点が集積し、水素の製造から利用まで、フルラインアップで揃っていることが特徴だ。
11月30日、山梨県内の企業などが、水素燃料電池事業を推進しようと一般社団法人「FCyFINE PLUS(エフシーファイン・プラス)」を設立した。
同社団法人は、県内で産官学が連携して事業化を進めている水素エネルギーや燃料電池について、個々の企業や団体では解決が難しいとされる課題を協業して解決を目指す。現時点では自動車販売会社やガス会社といった、県内外の民間企業17社などが会員となっている。県や山梨大学などがアドバイザーとして参加し、会員は現在も募集しているという。
山梨大学は12月16日、水素燃料電池の新たな電極用触媒開発について欧州の2大学と共同研究を始めると発表した。共同研究するのは、高い触媒設計技術を持つドイツのブラウンシュヴァイク工科大学と、触媒を担体と呼ばれる台座に固定する技術で定評のあるスイスのベルン大学だ。
水素を使った燃料電池の化学反応を促進させる新たな触媒を研究する。実用化されれば、現在水素燃料電池自動車に使用されている5倍の効率性と耐久性がある高性能の燃料電池ができるという。将来的に小型無人機のドローンや車などで、より長持ちする動力源として使用されることが想定されている。
同大学では40年以上も前から水素をエネルギー源として使う燃料電池の研究開発が行われてきた。共同研究によりCO2を出さない水素を用いたクリーンエネルギー技術の普及を後押しするとして期待が高まる。
同県はグリーン水素の地産地消を進める役割を担うため、県内における連携だけでなく国内外とも連携がとれる体制を整えている。蓄積してきた研究実績と技術力を生かし、水素燃料電池の新たな社会実装の推進を図る方針だ。
ヘッダー写真:名古屋太郎, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
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