冬になると気温・室温ともに下がり、暖房器具を使うため電気代が高騰しがちです。暖房器具のうち、どの家電が多くの電力を消費しており、それらの機器はどのように使用すると節電につながるのでしょうか?
ここでは、冬に消費電力が多くなる家電、および各家電の具体的な節電対策をご説明します。
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節電対策に力を入れることの意義は、金銭的な節約にとどまりません。節電対策は環境保全の観点から大きな意義を持っており、私たちの将来を大きく左右するといっても過言ではないのです。節電対策による効果は、以下のような領域にも反映されます。
*資源エネルギー庁「「令和元年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2020)」
上記のグラフから分かる通り、日本は現在も化石燃料をもちいた発電にエネルギー供給を頼っています。現状が維持されるままでは、限りある資源を使い尽くしてしまい、さらには地球温暖化の問題も深刻化する一途です。そのため、化石燃料に頼らない世界をいち早く実現すべく、私たちが積極的に節電対策に取り組み消費電力を減少させることには大きな意義があるのです。
総務省統計局が公表する「家計調査(家計収支編)時系列データ(二人以上の世帯)」によると、2020年1月の電気代の平均値は1万2,232円、2月は1万3,201円となっており、これは1万円を下回ることも多い夏季の平均値に比べてやや高い数値だといえます。
*経済産業省「冬季の節電メニュー(ご家庭の皆様)」
冬季の消費電力は上記のような内訳となっており、1年を通じて多用する家電を除けばエアコンや電気ポット、電気カーペットや電気こたつなどの家電が特に使用されていると分かります。
ここでは、冬季に使用することの多いエアコンや電気ポット、電気カーペットや電気こたつの節電対策をご説明します。
資源エネルギー庁が公表する「省エネ性能カタログ2019年版」では、以下の点を意識したエアコンの利用が推奨されています。
外気温度が6℃と仮定し、2.2kWのエアコンを1日あたり9時間使用する場合、20℃の室温設定にすることで年間53.08kWhの節電につながります。お金に換算すると約1,430円の節約になり、26.54kgのCO2削減となるため、経済面にも環境面にも大きな好影響を与えられるのです。
このほか、温かい空気は高いところに滞留する特性があることから、エアコンの風向きは下方向に設定し、必要に応じてサーキュレーター・扇風機を天井付近へ向けて起動させると良いでしょう。これにより天井に溜まった暖気が部屋全体に広がり、効率的に部屋を暖められます。
なお、エアコンは経年により消費電力に対する暖房効果が低下するため、室温調整の効果が薄まったり運転音の大きさが気になったりした際は、買い替えの検討を推奨します。
電気ポットは長時間保温のまま放置しがちであるものの、保温機能は使用せずお湯が必要になったタイミングで再沸騰させた方が良いケースもあります。
「家庭の省エネ徹底ガイド 春夏秋冬 2017」によると、電気ポットに2.2リットルの水を入れて沸騰させたのち、1.2リットルのお湯を使用して6時間保温のまま放置した場合より、保温を切って6時間後に再沸騰させた方が年間107.45kWhの節電になるとのこと。年間約2,900円の節電となり、63.1kgのCO2削減につながります。
このほか、お湯が必要となる時間から逆算し、節電タイマーをセットして沸騰させるタイミングをコントロールすることで、約2~3割の節電が期待できます。
エアコンの暖気が天井付近に溜まってしまうことから、足元を暖めるために利用することの多い電気カーペットは、利用方法によって大きく電気代が変わります。
「家庭の省エネ徹底ガイド 春夏秋冬 2017」によると、3畳用の電気カーペットを1日55時間使用する場合、設定温度を「強」から「中」に変更することで年間185.97kWhの節電が期待できます。金額に直すと年間約5,020円の節約となり、109.2kgのCO2を削減することが可能です。
このほか、必要以上に大きな電気カーペットの導入を避け、分割して暖められる機能がある場合は必要箇所のみ暖めることで節電効果が期待できます。
なお、電気カーペットはフローリングや畳に直置きすると、熱が地面へ逃げてしまいます。電気カーペットの下に断熱効果のあるシートを敷き、熱の分散を避けることで暖房効果を高める工夫も併用すると良いでしょう。
家族団らんの場に持ち出すことの多い電気こたつは、エアコンや電気カーペットに並んで冬季の電気代を左右する暖房器具の1つです。
「家庭の省エネ徹底ガイド 春夏秋冬 2017」によると、電気こたつを1日55時間使用する場合、設定温度を「強」から「中」に変更することで年間48.95kWhの節電効果が期待できます。金額にすると年間約1,320円の節約になり、28.7kgのCO2削減につながる計算です。
また、掛け布団と敷き布団を併用し、温度を逃がさないように工夫することで節電効果があることも省エネルギーセンターの調査により分かっています。一度用意してしまえば、電気こたつとともに冬季を越えるまで使い続けられるため、電気こたつと一緒に布団を準備すると良いでしょう。
ここでは、準備さえ整えてしまえば手間のかからない節電対策や、すでに家にあるものを工夫してお金をかけずに節電する方法をご説明します。
ZEH(ゼッチ)は、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)と呼ばれるエネルギー消費量の収支ゼロを目指した住宅、もとい補助金をめぐる政府の定義を指す言葉です。
住宅としてのZEHは、各部に断熱材をもちいることで断熱性能を高め、省エネ家電と太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入することで、節電しつつ電力を自給自足することを目標としています。
節電対策としての効果は非常に優れており、一度ZEHを購入してしまえば特別な取り組みを必要とせず大きな節電効果を得られる点が魅力的です。また、冬季に発生しやすい「ヒートショック」の防止策としても機能し、電力の自給自足を目指すことから災害の備えとしても役割を全うします。ZEHの詳しい情報は以下の記事で解説しているので、本記事とあわせてご参照ください。
外気だけでなく、室内の空気まで冷え込む冬季は、部屋のなかで厚着することを心がけましょう。重ね着をしたり厚手の靴下を着用したり、大きな費用をかけずに取り組める選択肢は多々あります。
重ね着や靴下のほかにも、室内の行動の妨げになりづらい上記の防寒グッズは、体温調節の効果が高いためおすすめです。
特に冬季は浴槽のお湯が冷めやすく、少しでも時間を空けると追い炊きが必要になります。電気エネルギーをもちいてお湯を沸かすエコキュートは消費電力が少ないことで知られているものの、長時間の保温や追い炊き機能の多用は望ましくありません。
大家族であれば、各員の入浴時間が開くほど追い炊き回数が増えるため、できる限り間隔を空けずに入浴して追い炊きを最小限にとどめることが大切です。
電気カーペットの節電対策でも触れたように、床部分で発生した熱は地面に逃げてしまうため、何の対処もしなければ消費電力に対して満足に効果を得られません。電気カーペットや電気こたつなど、床から身体を暖める暖房器具をもちいる際は、暖房効率を高めるため断熱シートの利用を検討してください。
経年により性能の低くなった家電は、消費電力に対して十分な性能を発揮できないため、より新しいモデルへの買い替えを検討すべきです。冬に多用するエアコンを始め、必須の家電である冷蔵庫や洗濯機は、効果が落ちたり稼働音が変わったりしたときが買い替え時期だと判断して良いでしょう。
いずれの家電も壊れてから買い替えるとなれば設置完了まで不便を強いられることとなるため、異常が見られるのであれば完全に壊れる前に交換を検討するよう推奨します。
夏季に比べて電気代が高騰しがちな冬季は、主に暖房器具が大きな電力消費につながるため、いかにしてスイッチをオンにしている時間を削減するかがカギになります。
まずは冬の期間に毎日使っている機器の使い方を見直し、ご紹介した節電対策をお試しください。また、住宅購入を検討する際には、電力の自給自足が可能となり、電気代削減・環境保全の観点からメリットの多いZEHの購入検討を推奨します。
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