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環境にやさしい「電気自動車」の仕組み

環境意識への高まりとともに電気自動車(EV)への注目が集まっています。今後、欧州を中心に電気自動車への移行が本格的に始まるなか、将来的には電気自動車への買い替えを検討している方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、電気自動車の基本的な仕組みやガソリン車との違いについて詳しく解説していきます。

電気自動車(EV)とは?

電気自動車とは、その名の通りガソリンではなく電気を動力として駆動する自動車のことを指します。一般的には電気自動車とよばれることが多いですが、専門的な表現としては「EV(Electric Vehicle)」と表記されることも多く、一度は目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

電気自動車はガソリンを給油する必要はありませんが、その代わりに蓄電池に電気を蓄える必要があり、一般家庭のコンセントから充電する場合は満充電まで数時間以上かかるケースがほとんど。大型ショッピングセンターや高速道路のサービスエリア、ガソリンスタンドなど、約30分で80%程度まで急速充電が可能な施設も増えています。

ガソリン車と比較して電気自動車は地球環境に優しく、ランニングコストも極めて低いほか、エンジンから発生する騒音や振動もありません。航続可能距離や充電時間など解決すべき課題は多くありますが、今後の自動車産業を支える重要な技術として注目されているのです。主要な自動車メーカーから販売されている電気自動車はまだまだ少ないですが、ハイブリッド車が一般的な存在となったように、電気自動車も今後本格的に普及していくことが期待されています。

電気自動車は本当にエコなのか?

電気自動車はランニングコストが安くエコであると紹介しましたが、果たしてそれは本当なのでしょうか。また、実際にどの程度のコストが削減できると期待できるのでしょうか。大前提として、電気自動車はガソリンを燃焼しないためCO2を一切排出することがありません。そのため、地球環境への配慮という点においては極めてメリットが大きいといえるでしょう。

しかし、もっとも気になるのはコストです。電気自動車を一般家庭のコンセント(100V)から充電すると満充電まで十数時間かかるため、200Vの電圧に変更するケースが一般的です。電圧変更は電気工事の資格が必要となるため、電気工事を請け負っている業者に相談してみましょう。工事費用は10〜20万円程度のケースが多く、これに加えて電気自動車専用の充電器を設置する費用として5〜50万円程度の費用がかかります。そして、気になるランニングコストですが、仮に月に1,000km程度を走行する前提とした場合、自宅の電気代は約2,000〜3,000円。外出先で急速充電設備を利用する場合、30分ごとに300〜600円程度の料金がかかります。ただし、大規模ショッピングセンターなど一部の施設では無料で充電できる場所も設置されているため、うまく活用すればコストを大幅に節約することも可能です。
ちなみに、燃費10km/L、ガソリン単価140円/Lを前提としてガソリン車と比較してみると、月額1万円以上も節約できる計算になります。

加速するEVシフト

現在、欧州を中心にEVシフトの動きが加速しています。EVシフトとは従来のガソリン車から電気自動車への移行をしていく動きで、中国もこれに対応する政策を発表しました。たとえばフランスとイギリスの場合は2040年までにガソリン車およびディーゼル車を撤廃し電気自動車に完全に移行する方針を出しました。これに続くようにして、欧州最大の自動車大国ドイツも2030年を目処にEVシフトの方針を打ち出したほか、スウェーデンやスイス、ベルギーなども今後数十年のスパンでEVシフトに動き出すことを発表しています。

日本の自動車産業に目を向けてみると、ガソリンと電気を動力としたハイブリッド車に大きな強みを持ち発展してきた経緯があります。しかし、今後はガソリンやディーゼルといった化石燃料からは完全に脱却し、CO2を一切排出しない電気自動車が世界的な潮流になっていくことが既定路線となっているのです。

ガソリン車と電気自動車の違い

電気自動車の概要について触れてきましたが、ここからはガソリン車と電気自動車との違いについて詳しく掘り下げていきましょう。今回は大きく3つのポイントに分けて解説します。

電気自動車の仕組み

ガソリン車やディーゼル車の場合、クルマのボンネット部分またはリアの部分にエンジンが搭載され、燃料をエンジン内で燃焼させて動力を得ていました。そのため、これまでのクルマにはエンジンルームが存在していたのですが、電気自動車の場合はそもそもエンジンが不要であるためエンジンルームも存在しません。エンジンの代わりに電動のモーターが採用され、駆動輪に直結するように配置されています。

したがって、これまでガソリン車にとって必須であったクルマのパーツも、電気自動車に移行することによって不要になるものが出てきます。たとえばエンジン本体はもちろんですが、燃料タンクやラジエーター、マフラー、点火プラグなどがそれに当たります。また、当然のことながらオイル交換の必要もなくなり、メンテナンスにかかる手間やコストも大幅に軽減されるでしょう。

一方で、電気自動車ならではの新たなパーツも存在します。ガソリン車のエンジンにあたるモーターはもちろん、極めて大容量のバッテリー、バッテリーの温度を調節するヒーターやクーラー、さらにはコンバーターとよばれる電圧を変換するパーツも必要となります。

温室効果ガスの排出量      

電気自動車とガソリン車それぞれを比較したとき、CO2を一切排出しない電気自動車のほうが環境に優しいのは明白です。しかし、ここで疑問となるのが「発電の過程においてCO2が排出されているのではないか」ということ。クルマ自体を比較したときにCO2が削減されていたとしても、電力消費量の増加にともなって結果的にCO2排出量が増えてしまったのでは意味がありません。

国立環境研究所の調査によると、発電方法によってもCO2削減効果は異なることが報告されています。たとえば原子力発電の比率が高いフランスの場合、発電の過程においてCO2排出量は抑えられているため、電気自動車に移行した場合90%ものCO2削減効果が期待されるとのこと。一方で火力発電の比率が高い中国においては、電気自動車に移行しても15%程度の削減効果しか見込めないと予測されています。

ちなみに日本の場合は、火力や水力、原子力などをバランス良く組み合わせて発電しているため、CO2は55%程度削減できると予測されます。

電気自動車の性能と価格帯

日本の自動車メーカーのなかで電気自動車を販売しているのは日産と三菱自動車。日産は「LEAF」、三菱自動車は「i-MiEV」という車名で、価格帯としては300〜400万円前後で販売されています。どちらもコンパクトカーであり、同じクラスのガソリン車に比べると約1.5〜2倍ほどの相場といえるでしょう。海外ではテスラ、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、BMWなども電気自動車を続々と発表していますが、価格の安さでは国産メーカーに軍配が上がります。

国産車のなかでも代表的な電気自動車である「LEAF」の場合、満充電で最大322km(WLTCモード)もの航続距離を実現。モーターの最大出力は110kW(150PS)/3283~9795rpm、最大トルクは320N・m(32.6kgf・m)/0~3283rpmを発揮し、実用性の面でも十分なパワーを発揮してくれます。

2020年最新 主要メーカーの電気自動車3選

日産「LEAF」

価格 3,326,400円〜
寸法 全長4480mm×全幅1790mm×全高1560mm
車両重量 1490kg
航続距離 322km(WLTCモード)
最高出力 110kW(150PS)
最大トルク 320N・m(32.6kgf・m)

*日産「LEAF」

三菱「iMiEV」

価格 3,003,000円〜
寸法 全長3480mm×全幅1475mm×全高1610mm
車両重量 1100kg
航続距離 164km(JC08モード)
最高出力 47kW(64PS)
最大トルク 160N・m(16.3kgf・m)

*三菱「iMiEV」

フォルクスワーゲン「e-Golf」

価格 5,448,000円〜
寸法 全長4265mm×全幅1480mm×全高1800mm
車両重量 1590kg
航続距離 301km(JC08モード)
最高出力 100kW/136PS
最大トルク 290N・m(29.5kgf・m)

*フォルクスワーゲン「e-Golf」

おわりに

今回紹介してきたように、電気自動車はこれまでのガソリン車とはさまざまな点で異なることが分かります。環境に優しく経済的であるメリットがある一方で、充電にかかる時間や自宅への充電設備の準備など、注意しなければならない点があることも確か。また、ロングドライブの際には航続距離にも注意しながら運転しなければなりません。 今後世界的に電気自動車への移行が進み、さらに多種多様な電気自動車が登場してくると考えられます。これから電気自動車への乗り換えを検討している方は、ぜひ今回の内容を参考にしていただき、自分自身のライフスタイルに合ったクルマ選びに役立ててください。