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再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは

2021年03月02日

2015年に採択されたパリ協定を機に、世界各国で脱炭素への興味関心が集まりつつあります。日本国内でも、「2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする」という菅総理の所信表明により、再生可能エネルギーを普及させようとする動きが活発化しています。

この記事では、再生可能エネルギーについて説明し、推進される理由や普及を目指すうえでの課題について解説します。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは太陽光・風力・水力・バイオマス・地熱など、地球資源を活用して生み出されるエネルギーのことです。自然エネルギー、持続可能なエネルギー、クリーンエネルギーともいいます。特徴は大きく分類して3つあります。

二酸化炭素を排出しない

まず1つ目が、二酸化炭素を排出しないことです。現在主流の石油・石炭・天然ガスなどの化石エネルギーは、エネルギーを生む際に多くの二酸化炭素を排出します。二酸化炭素は地球温暖化の原因である温室効果ガスの一種ですので、化石燃料を使い続ける限り地球温暖化は止まりません。

しかし、再生可能エネルギーは二酸化炭素を排出しないため、比率を増やせば増やす分だけ地球環境を良くすることができます。

資源に限りがない

2つ目の特徴が、再生可能エネルギーは限りのない資源であるということです。化石エネルギーは数に限りがあり、天然ガスや石油はこの先50年程度ですべてを使い切ってしまうといわれています。

その一方で再エネは太陽光や風力を使用するため、天変地異や地球・太陽が寿命を迎えない限り、いつまでも産出することができます。

条件が合えばどこでも生産できる

3つ目の特徴は、再生可能エネルギーはどこでも生産できるという点です。化石燃料は採れる地域に偏りがあるため、資源が乏しい国は豊富な国から輸入しなければいけません。事実、2018年の日本のエネルギー自給率は11.8%で、多くの燃料を輸入に頼っています。

しかし、再エネは活用できる敷地があればどこでも発電可能です。再エネが自国で生産できるようになれば輸入に頼る必要がなくなり、経済を自国内で循環することができます。また、化石燃料は政情によって値段が大きく変動しますが、再エネはそういった事情に左右されません。こういった特徴から、再エネは今後欠かせないものといわれています。

主な再生可能エネルギーの種類

ここでは、主な再生可能エネルギーを5つ解説します。

太陽光

現在、再生可能エネルギーのなかでもっとも主流なのが太陽光です。2012年のFIT制度開始以降、日本国内では数多くの太陽光発電所が建設されています。

太陽光は、電池が内蔵された太陽光パネルに日光を当てることで発電します。空き地や建物の屋根の上など、太陽が当たる場所ならどこでも発電できるのが大きな特徴です。しかし、日中にしか発電できなかったり、天候に大きく左右されたりと、発電量が不安定というデメリットもあります。

2020年の日本の発電量のうち、太陽光発電は8.5%でした。FIT制度の開始以来、この数字は伸び続けており、今後も比率がどんどん増えていくことが見込まれています。

水力

太陽光に次いで発電量が多いのが水力です。2020年時点で全体の7.9%を水力発電が占めています。

水力は、高いところに貯めた水を低いところに落とし、その力を使って発電します。水資源に恵まれた日本では、昔からダムを活用した水力発電が盛んです。近年ではダムを使用しない中小規模の発電所も増えています。

水力は発電所を作れば昼夜問わず発電できるのが特徴です。しかし、水を流す河川の調査に時間やコストが必要で、建設が決定しても地元住民の理解や水利権の調整をしなければいけません。多くの労力が必要です。

バイオマス

バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)のことで、排泄物や食品廃棄物など、生物由来の資源から化石資源を取り除いたものを指します。

発電方法は火力と同じで、資源を燃焼したり、ガス化してから燃焼させたりすることで発電します。生物資源には多くの種類があり、木質バイオマス、メタン発酵バイオマス系、液体燃料バイオマス、一般廃棄物バイオマスが代表的です。

  • 木質バイオマス:間伐材や工場や建設現場で発生する廃材、ヤシ殻など
  • 家畜・汚泥系バイオマス:牛・豚・鶏など家畜の排泄物や下水汚泥、生ゴミの発酵によるメタンガス
  • 液体バイオマス:パーム油など
  • 一般廃棄物バイオマス:生ゴミ等の食品廃棄物、剪定材、農業残渣物、木くず、紙など

バイオマスは植物の光合成によって二酸化炭素を吸収した資源を使うため、温室効果ガスを排出しません。また、廃棄物を利用するため、ゴミの再利用・減少にも繋がります。しかし、資源を集める際にかかるコストや森林への悪影響など、課題も多いです。

2020年の全体の発電量のうち、バイオマスは3.2%を占めています。

風力

風でブレード(羽)を回すことによって電気を生み出すのが風力発電です。2003年、電力会社に一定量の再生可能エネルギーの生産を義務づけた「RPS制度」の開始にともない、導入が進みました。

風力は昼夜問わず発電でき、高効率のエネルギー変換が可能です。しかし、風が吹かない場合は発電できなかったり、設備が大きいため発電できる場所が限られていたりと、こちらも課題が多く残されています。設備が大規模なため、建設費や運営費などのコストも高額です。

そのため、2020年時点で発電量全体の0.86%と、導入はあまり進んでいません。

地熱

地熱とは地下にあるマグマの熱エネルギーのことです。地上で降った雨は地下に浸透するとマグマによって蒸気に変わります。その蒸気を使ってタービンを回すことで電気を生み出します。日本は多くの大陸プレートがぶつかり合う場所にあるため、地熱資源が豊富です。

地熱は天候に関係なく発生するため、昼夜問わず安定して発電できます。発電に使った蒸気・熱水は農業用ハウス・魚の養殖・暖房などにも再利用できるので、エネルギー効率が高いです。

しかし、発電所の建設コストが高く、地域住民との交渉も必要となるためあまり普及していません。2020年時点では、全体の0.25%に止まっています。

なぜ今、再生可能エネルギーが重要視されているの?

2020年には、年間発電量に占める割合が20%を超えた再生可能エネルギー。ここまで再エネが重要視される理由としては大きく2つの要素が挙げられます。

地球温暖化

まず1つ目が地球温暖化です。18世紀に始まった産業革命以降、化石燃料の使用量が増えたことで二酸化炭素の排出量が増加。それにともなって地球の平均気温が上がり続けています。1880年から2012年までの間に世界の平均気温は0.85℃も上昇しており、2100年には5度上がると予想されています。

私たちがこの先も生活を続けるうえで地球温暖化は解決しなければいけない問題です。現在でも北極の氷が溶けたことで海面が上昇したり、異常気象が増えたりしており、このままでは生態系のバランスが崩壊する恐れがあります。そうなると食糧不足やインフラの機能停止が発生し、人間が地球で生きられなくなるのです。

地球温暖化の原因は二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの増加です。つまり、再エネの割合を増やせば二酸化炭素の排出量を削減できるため、地球温暖化を食い止めることができます。

経済問題

2つ目が経済に関する問題です。冒頭でも述べましたが、化石燃料は産出できる国が限られています。日本もエネルギーを輸入に頼り切っているため、多額のお金が海外に流れているのが現状です。

しかし、再生可能エネルギーを国内で生産できるようになれば、輸入に依存する必要がなくなります。その分のお金を別のことに投資できるため、再エネの普及は経済問題の解決にもつながるのです。

再生可能エネルギーの課題とは?

今後ますます再生可能エネルギーの導入が進む予定の日本ですが、導入にあたって多くの課題が残されています。ここでは、その課題について説明します。

他国と比べて、導入コストが高い

世界を見てみると、技術の進化にともなって再生可能エネルギーの導入コストが急速に低下しています。再エネの価格が化石燃料や原子力を下回る国も出てきています。日本も導入コストは低下していますが、以下のように海外と比較するとまだまだ高いのが現状です。

再エネの導入コスト

*平成 31 年度以降の調達価格等に関する 意見(案)(2019) ー 環境省

経済産業省は、太陽光発電については2030年に太陽光パネルの値段が下がることで原子力発電よりも安くなるとの見通しを示しました。発電以外のコストについても議論が進んでいるため、将来的にはこの問題は解決されるものと予想されます。

電力系統の制約がある

これまでの日本では、大規模な発電所でつくった電力を日本各地に送電するのが主流でした。しかし、再生可能エネルギーを導入するとなると、発電所が全国各地に散らばるため、送電線などの電力系統を新設する必要が出てきます。どのように構築するか、その予算をどうやって捻出するか、という課題があるのです。

電力供給量の調整ができない

電力は需要量を予測したうえで発電されます。原子力や火力で発電する場合は、需要の変化に合わせた発電の調整が可能でした。しかし、再生可能エネルギーの場合、発電量は天候や時間によって左右されるためうまく調整することができません。

この先、再エネで安定した電力供給を実現するためには、大型蓄電池を開発し、常に多くの電力を蓄えるシステムをつくるなどの技術革新が必要です。

おわりに

今後、更なる普及が見込まれる再生可能エネルギー。国内では脱炭素経営に取り組む企業が増えていますが、個人単位でも二酸化炭素を排出しない電力会社に切り替えたり、住居の屋根上に太陽光パネルを設置したりするなど、さまざまなアクションができます。

いつまでも安心できる未来をつくるためにも、私たちも再エネを深く知り、生活に取り入れていくといいかもしれません。

EnergyShift編集部
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