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ダボス会議で議論されていること

ダボス会議で議論されていること

EnergyShift編集部
2021/03/03

ダボス会議は、世界規模で解決しなければならない問題を提示し、各界のリーダーを集めて議論する総会です。政治家や経営者が多く集まることから「金持ちクラブ」と揶揄(やゆ)されることもあるダボス会議では、いったい何が行われているのでしょうか?
ダボス会議はこれまでどのように世界へ影響を与えてきたのか、2021年は何をテーマとして議論をするのかについてご説明します。

ダボス会議とは

ダボス会議は、毎年1月にスイス東部にあるダボスで開催される、世界経済フォーラムによる年次総会です。世界経済フォーラム(旧:ヨーロッパ経営フォーラム)は、経済学者や慈善活動家などの肩書を持つクラウス・シュワブ氏により設立された非営利組織です。

世界経済フォーラムによって世界各地で開催される国際会議には、さまざまな分野のリーダーが招請され、社会全体が直面している課題について議論が行われます。前述の通り、ダボス会議は同フォーラムの年次総会にあたり、昨今では当該年度の国際的な議論の流れを作る場所としても活用されています。

ダボス会議の影響力は大きく、過去にはギリシャとトルコの戦争を回避させたり、アパルトヘイトの終結を象徴する握手を実現させたり、歴史に残る出来事を実現してきました。

日本人も出席しているの?

2020年のダボス会議には、99名の日本人が参加しました。参加人数はアメリカが674名と最多で、日本は7番目に参加人数が多い国です。

*Reuters Graphics「ダボス会議2020の「勢力図」を読む

参加者の半数を上位5ヶ国の代表者が占めており、上位10ヶ国の合計参加者は全体の64%に相当します。参加者は各国のリーダーやグローバル企業の経営者、市民団体や文化人など多岐にわたります。

年度によって参加者は変わりますが、過去には元首相の安倍晋三氏や日本銀行総裁の黒田東彦氏、ノーベル賞受賞者の山中伸弥氏や俳優の渡辺謙氏など、業界をまたいで多くの日本人が参加しています。

議論されている内容

過去、50回のダボス会議を振り返りつつ、どのような議論が行われているのか解説します。それぞれの年代を遡ってみることで、ダボス会議が世界に与えてきた影響の大きさを振り返ってみましょう。

1970年代のハイライト

1971年、スイスのダボスに450人の参加者が集まり、経営技術についての討議が行われました。これが第1回目のダボス会議(ヨーロッパ経営フォーラムの年次総会)です。

1973年の第3回年次総会では、イタリアの実業家アウレリオ・ペッチェイ氏が提示する「経済発展と環境面の制約を両立させるために社会がすべき選択」が話題となり、グローバル経済の成長における持続可能性に注目が集まりました。

このとき話題となった持続可能性については、いまも世界における重要な課題として挙げられています。

1980年代のハイライト

1987年には、会員が世界規模に広がったことから、名称がヨーロッパ経営フォーラムから「世界経済フォーラム」に変更されました。

1988年、ギリシャとトルコが戦争に発展するほどの緊張関係になった際、年次総会の個別会議でギリシャとトルコの両首相が信頼関係を回復させ、その証としてダボス宣言に調印しました。主宰のクラウス・シュワブ氏による働きかけによって実現した会談により、戦争が回避されたのです。

ダボス会議が世界に調和をもたらした印象的な出来事だといえます。

1990年代のハイライト

1990年、東西に分割されていたドイツが統合され、東西ヨーロッパの要人たちが初めて一堂に会しました。この際の議論をきっかけとして、東西ドイツ議員らによって東ドイツの通貨安定化プログラム実施が要求され、この構想はその後に東西ドイツの経済を統一する枠組みとなります。

1992年、当時反アパルトヘイト運動のリーダーであったネルソン・マンデラ氏と、南アフリカ共和国のフレデリック・ウィレム・デクラーク大統領、クワズールー・ホームランドのマンゴスツ・ブテレジ首長による三者会談が行われたことで、アパルトヘイトは終結に向かいました。ダボスで作られた歴史的な出来事の1つです。

ここでも、緊張状態にあった地域の橋渡し役となり、公正な社会の構築に貢献しているダボス会議の存在がうかがえます。

2000年代のハイライト

2000年に開催された第30回目の年次総会では、「ワクチンと予防接種のためのグローバル同盟(GAVIアライアンス)」が創設されました。GAVIは2018年までに7億人超の子どもに天然痘の予防接種を行い、子どもたちを疾患から守っています。

2005年、世界経済フォーラムはグローバル・ジェンダー・ギャップ(世界男女格差)の測定をスタートし、2006年からグローバル・ジェンダー・ギャップレポートを発行。これにより各国の男女格差が数値化され、評価されるようになりました。

同レポートは昨今にいたるまで継続して行われており、厳密な分析のもと男女格差を評価する指標として機能しています。

2010年代のハイライト

2016年、数十億の一般市民が高度なテクノロジーを携帯できる時代となり、主宰のクラウス・シュワブ氏はデジタル時代が及ぼす影響を「第四次産業革命」という言葉であらわしました。同時に、官民がともに第四次産業革命に対応できるよう、世界経済フォーラムは「第四次産業革命センターネットワーク」を創設。

第四次産業革命センターネットワークは、テクノロジーが社会に及ぼすリスクを最小化するために、世界の100以上の政府・企業と政策の共同設計を行っています。

2018年には初めて年次総会の議長全員が女性となり、世間では「#MeToo運動(性的被害等の告白)」がムーブメントになっていたこともあり、女性にまつわるセッションが多く開催されました。同年には、アメリカ・ドイツ・フランス・イギリス・インドなどの国家元首(国際法上、外国に対して国を代表する者)が集い、高位の政治家が一堂に会したことでも注目を集めました。

2020年のダボス会議

第50回目を迎えた2020年のダボス会議では、「ステークホルダーが作る持続的で結束した社会」をテーマとして、ステークホルダー資本主義の確立に重きが置かれました。

ステークホルダー資本主義とは、企業が従業員・顧客・取引先・地域社会といった、あらゆるステークホルダー(利害関係者)への貢献を考えるべきというものです。この主義を体現することで、環境破壊や社会格差の解消につながり、ひいては持続可能な社会の構築につながります。

2020年のダボス会議には、若手の環境活動家であるグレタ・トゥーンベリ氏のほか、持続可能な社会の実現のために活動する多くの若者が参加。世界を動かす若いリーダーが持論を展開し、参加者一同が環境保全について改めて熟考する場となったようです。

2021年の開催日はいつ?

これまでダボス会議が実施されてきた時期にあたる2021年の1月25~29日は、ダボスではなくオンライン上で総会が開催される予定です。2021年のダボス会議で設定されたアジェンダ(議論する課題)は、以下です。

  • 結束し、持続可能で回復力がある経済システムの設計(1月25日)
  • 責任ある業界の変革と成長の推進(1月26日)
  • 地球公共財のスチュワードシップ強化(1月27日)
  • 第四次産業革命のテクノロジー活用(1月28日)
  • 世界的、および地域的な協力の推進(1月29日)

主宰のクラウス・シュワブ氏は、パンデミックによりダメージを受けた状況を踏まえて「2021年は信頼を再構築するための重要な年」と言及。新型コロナウイルス感染症の流行後、各界のリーダーが初めて直接集まる機会であるため、注目が集まっています。

その後、2021年5月25~28日に年次特別総会がシンガポールで開催され、従来通りのダボスで行われる年次総会は2022年から再開する見込みです。

おわりに

ダボス会議がどのような役割を持っており、過去にどんな貢献を果たしたのかご説明しました。ダボス会議を金持ちクラブだと批判する意見もありますが、実際に社会問題を解決してきた実績は多くあり、一概に否定されるべき取り組みではないという見方もできます。 ダボス会議の良し悪しについて考えるのではなく、会議で取り上げられる議論について各々ができる行動はないだろうかと思案することこそ、私たち個人にできる意義のある行動なのかもしれません。

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