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給食

日本でも広がりを見せる「オーガニック給食」

2021年11月30日

化学肥料を使用しない農産物によってつくられた「オーガニック給食」が全国で広がりを見せています。学校給食は子どもたちの体をつくるだけでなく、健康で充実した生活を送るための基礎を培う健康教育の一環です。世界に比べ、日本はオーガニック農産物に対する認知が遅れているのが実情。しかし、それらが学校で学べるとなれば更なる普及が見込めるでしょう。

実際にどのような給食が提供されているのか、オーガニック農産物を学校給食に導入している事例をみていきましょう。

日本のオーガニック給食実施例

オーガニック食品市場が世界的に急拡大している一方で、日本はオーガニック後進国であるといえます。そんな日本で、子どもの健康や持続可能な地球環境を守るために積極的にオーガニック食品を普及させようと取り組んでいる生産者や自治体の例をいくつかご紹介します。

高知県四万十市

有機野菜の生産物は優先的に使用するという高知県四万十市の方針のもと、15年以上も前から、学校給食に有機栽培の食材を取り入れています。小学校の給食で、米の100%(完全米飯)と野菜の約30%が市内産の無農薬、減農薬農産物になっているとのこと。

愛媛県今治市

「日本一美味しい学校給食」を掲げる今治市。学校給食の食材は、今治市産の米、麦、大豆等の農産物を優先的に使用し、遺伝子組み換え食品の使用は避けています。

平成13年4月1日より改正JAS法が施行され、有機食品等の認証制度(有機JAS)がスタートした時には、いち早く生産者達がこの認証を取得しており、JAS認証を受けた有機野菜を使用している全国でもめずらしい給食が生徒たちに出されています。

千葉県いすみ市

2015年に「いすみ生物多様性戦略」を策定したいすみ市は、14年から有機稲作に本格的に取り組み、17年には市内のすべての小中学校の給食を有機米に切り替えました。小・中学校の給食に100%有機米を導入したのは全国ではじめてだということで、さまざまなメディアに取り上げられました。

世界のオーガニック給食実施例

EUや北米は特にオーガニック農産物への意識が高く、法律で義務付けられている地域もあるほどです。今回は、特に斬新な事例をご紹介します。

韓国

有機給食の海外事例として挙げられることが多い韓国。なんと、ソウル市長が「2021年から学校の類型と関係なくすべての小・中・高校でオーガニック無償給食を施行する」方針を発表しました。

フランス

フランスでは近年、学校給食にオーガニック食材を導入する動きが相次いでおり、2022年までに給食食材のオーガニック比率を50パーセントにすることが法律で定められました。これは学校給食だけでなく、官公庁など公共機関の職員食堂も対象になります。

フィンランド

世界ではじめて無料給食を実現したフィンランド。環境問題に配慮して、肉食を減らそうという議論が盛んなフィンランドでは、ベジタリアンやヴィーガン向けのメニューが提供されています。それらをブッフェ形式で、好きな食材を好きな量だけ食べることができるシステムなのです。

アメリカ

カルフォルニア州マリン郡サウサリートマリン地区の生徒には、全米初となる「100%オーガニックな食材で調理した給食」が提供されています。低所得者層が多いこの地区では、給食にオーガニック食材を導入してから非行に走る生徒が減少したという興味深い調査結果も出ています。(調査:NPO団体「Turning Green」)

おわりに

学校給食は子どもたちの体をつくるだけでなく、健康で充実した生活を送るための基礎を培う健康教育の一環です。だからこそ、生産者や保護者、自治体が官民一体となって考えていくことが重要です。

日本では農薬や化学肥料を使う農法への信頼度が高く、まだオーガニック農産物の需要は高くありません。しかし、子どもの健康や持続可能な地球環境を守るために欠かせないものとなります。1人でも多くの方が関心を持ち、オーガニック市場が普及拡大することが求められています。

EnergyShift編集部
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