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COP21とは?パリ協定の参加国や目標

地球で進む気候変動への対応が各国で活発になってきています。その動きのきっかけとなったのが「COP21」 と呼ばれる国際会議です。
今回はCOP21の場で締結されたパリ協定がどのような内容のものなのか、パリ協定の目標達成にはどのような課題があるのかなどを解説します。

COP21とは

気候変動枠組条約とCOPの関係

COPとは「Conference of the Parties=締結国会議」の略称で、ニュースなどで「COP(コップ)」という言葉が用いられるときは「気候変動枠組条約締結国会議」を指します。気候変動枠組条約は1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された国連地球サミットで採択され、各国はこの条約で大気中の温室効果ガス濃度を安定化させることに合意しました。

COPの会議は気候変動枠組条約の最高意思決定機関の役割で、原則すべての条約締結国が参加のうえ年1回開催され、各国の気候変動に対する取り組みのレビューや、新たな決定が行われます。

COPのあゆみ

1995年にCOP1がドイツのベルリンで開催され、1997年には日本が議長国となり京都で行われたCOP3で「京都議定書」が採択されました。京都議定書では先進国の削減目標が明確に規定され、温室効果ガス排出量削減に向けて世界が大きな一歩を踏み出しました。

京都議定書の目標期間は2008年~2012年の5年間だったため、2013年以降の新たな枠組についてCOPで議論が続けられてきました。2010年のCOP16(メキシコ・カンクン)では京都議定書の第二収束期間が設定される目論見でしたが、日本などが参加しないことを決定。この時の日本の主張は、「京都議定書は(最大排出国であるアメリカや急成長する中国・インドなどが参加していないため)世界全体のエネルギー起源CO2排出量の約27%しかカバーしておらず、すべての主要国を含む枠組の保証がない中で第二約束期間を受け入れれば、2013年以降も一部の国のみが削減義務を負う枠組が継続・固定化されることになり、世界規模での真の削減につながらない」というものでした。

世界の気候変動方針を宙に浮いたままにしてはいけないという危機感を持って迎えられたCOP17(南アフリカ・ダーバン)で、2020年以降の新たな法的枠組に関して2015年までに各国が合意するための道筋をつけることが決まりました。

2015年のCOP21はなぜ話題になったのか?

迎えた2015年11~12月、フランスのパリでCOP21が開催されました。COP21が大きな話題になった理由は、歴史上はじめてすべての国が温室効果ガス削減への取り組みを約束する「パリ協定」が採択されたからです。COP21では連日夜が更けるまで各国閣僚クラスの要人による交渉が続き、採択の瞬間には議会場が歓声と拍手で溢れました。

COP21が成功しパリ協定が採択された要因として、議長国フランスの優れた采配があったことや、COP21開催前から二大排出国の米中が積極的な姿勢を見せていたことなどが挙げられます。また、同じ2015年の9月に行われた国連サミットにおいて全会一致で「SDGs」が採択されていたことで、持続可能な社会の実現に気候変動対応が必須であることを世界の首脳陣が認識していたことが、パリ協定を可能にしたと考えられます。COP21を境に、世界が新たな未来に向けて歩み始めたともいえるでしょう。

パリ協定の発効条件

2015年12月に採択されたパリ協定は2016年4月に署名式が行われ、日本を含む175の国と地域が署名しました。これはひとつの国際条約に対する一日の署名国数として史上最大で、当時の潘国連事務総長から賞賛されました 。

パリ協定の発効要件は「世界の総排出量55%を占める」、「55ヵ国以上が締結する」ことでした。2016年9月に世界の温室効果ガス排出量上位2か国である中国(20.1%)と米国(17.9%)が同時に締結、10月にはEU(12.1%)とインド(4.1%)、他7加盟国が締結し、早期に発効要件が満たされることになりました。そして同年11月4日、採択から1年を待たずしてパリ協定が正式発効されました。日本は発効日に間に合いませんでしたが、11月8日に締結を完了しています。

パリ協定で定められた内容

パリ協定が掲げる「2℃目標」

パリ協定が掲げる長期目標は以下の通りです。

  • 世界共通の長期目標として、産業化前からの平均気温上昇を2℃以内に保つこと。できる限り1.5℃以内に抑える努力をすること。(通称:2℃目標)
  • そのために、21世紀後半には人間活動による温室効果ガス排出量と、森林などによる吸収のバランスを取れるようにすること。排出量をなるべく早期にピークアウトするため、最新科学を推進し削減すること。

地球温暖化の要因が人間の活動による温室効果ガス排出増加による可能性が極めて高いことが、2013年のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書で指摘されています。温室効果ガス排出量の抜本的かつ持続的な削減を行い、21世紀末までに排出量を実質ゼロにすれば、地球の平均気温上昇は産業革命前の2℃未満に収まる可能性が高い(66%)といわれています。

*「IPCC  CLIMATE CHANGE 2013」 

パリ協定の特徴

パリ協定が画期的だといわれる理由に以下のようなポイントが挙げられます。

  • 先進国だけでなく途上国を含むすべての主要排出国と地域に削減努力を求めている点。すべての国が5年ごとに削減目標を提出・更新する。
  • 高い透明性が保たれるしくみになっている点。目標を達成するための国内対策をとり、すべての国が実施状況を報告し、レビューを受ける。
  • 各国の進捗状況を確認し前に進めるサイクルになっている点。5年ごとに世界全体の実施状況を検討する。(グローバル・ストックテイク)
  • 先進国だけでなく途上国も自主的な資金拠出が奨励されている点。従来と同様に先進国による資金提供は継続されるが、加えて途上国にも資金提供を呼び掛けている。
  • イノベーションの重要性が位置付けられている点。

日本と主要国の温室効果ガス削減目標

日本と主要国の削減目標および進捗は以下の通りです。

目標年 目標 進捗
日本2030年2013年比で26%の温室効果ガス削減2016年度時点で7%の削減実績。目標ラインと同水準で、最近の動きは削減の傾向。
イギリス2030年1990年比で57%の温室効果ガス削減2016年時点で12%の削減実績。目標ラインから上ぶれ、最近の動きは削減の傾向。
フランス2030年1990年比で40%の温室効果ガス削減2016年時点で18%の削減実績。目標ラインから上ぶれ、削減傾向は横ばい。
ドイツ2030年1990年比で55%の温室効果ガス削減2016年時点で27%の削減実績。目標ラインから上ぶれ、削減傾向は横ばい。
アメリカ2025年2005年比で26~28%の温室効果ガス削減2016年時点で12%の削減実績。目標ラインから上ぶれ、最近の動きは削減の傾向。

各国の温室効果ガス排出量削減方法には「エネルギー供給の低炭素化」と「省エネルギー」があります。

  • エネルギーの低炭素化:従来なら石油や石炭などの化石燃料で供給されていたエネルギーを、再生可能エネルギーにすることや、原子力などCO2排出量の少ないエネルギーの使用比率を上げていくこと。また化石燃料を使用する場合は石油や石炭ではなくガスなどの低炭素燃料への切り替えをすることなどが必要になります。
  • 省エネルギー:エネルギー消費の効率化を進めること、つまり使うエネルギーを減らすことです。

画期的な目標を実現するための課題

先進国だけに排出量削減が義務付けられていた京都議定書に対し、パリ協定では途上国を含むすべての締結国が対策を実施することになった点で大きな進展となりました。しかし、経済発展度やエネルギー資源量が異なる多数の国のあいだで行われた交渉には譲歩や妥協が必要だったため、今後の課題につながっています。

例えば、各国が目標を設定することは協定で決められていますが、その目標に法的拘束力はなく、未達の場合も罰則がありません。そのためパリ協定が本当に実効性のある国際合意として働くのかという意見もあり、今後注視していく必要があります。
また各国が自主的に定めた目標の積み上げで、本当に2℃目標を達成できるのかと疑問視する声もあります。5年ごとの目標見直しや各国の進捗レビューによって、この課題点を解消しながら前に進めることができるかどうかが、パリ協定の明暗を分けることになると考えられます。

日本においては、他の国と比べて省エネ(エネルギーの効率化)が進んでいるものの、化石燃料の依存度が高く、天然ガスなどの低炭素燃料への転換度が低いことが課題です。さらに日本に石油資源が乏しいことや、EUのように近隣国とエネルギーをつなぐ方法がないといった事情を抱えています。この課題を解決するために、日本は「エネルギーミックス」という多様な電源をバランスよく構成する計画を策定し、2030年には化石以外のエネルギー比率が44%になる見通しを立てています。

おわりに

COP21で採択されたパリ協定は、その後アメリカの離脱宣言やトルコなど署名はしたものの未だ自国で批准をしていない国があるといった事案が生じています。2019年にスペイン・マドリードで開催されたCOP25では、温室効果ガス国際取引の市場メカニズムに合意が得られず、次回に持ち越しになるなど交渉が難航している側面もあります。

厳しい状況の中でも2℃目標達成に向け各国が自主的な行動を取れるかどうかに、21世紀後半の地球環境はかかっています。未来を生きることになる若者のあいだで気候変動対応への関心が高まっているのは当然のことかもしれません。今後もCOPでの国際的な進展が期待されます。