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蓄電池の費用

蓄電池にかかる費用相場はいくら?補助金を活用してお得に設置しよう!

2021年08月16日

何度も充電して利用できる蓄電池は、被災などによる停電時に備えるための設備として、住居に導入されるケースが増えてきました。非常用電源として使えるだけではなく、太陽光発電パネルと連携して電気代節約に役立てたり、電気自動車の充電設備として活用したりといった使い方も可能です。

ここでは蓄電池にかかる費用の相場、ならびに蓄電池導入に使える補助金についてご説明します。補助金を利用すれば数十万円ほどの金銭的負担が軽減されるため、蓄電池の導入を検討している場合はぜひご参照ください。

蓄電池の価格を構成する要素

2021年に公開された「定置用蓄電システムの目標価格および導入見通しの検討」では、2019年時点における家庭用蓄電システムの価格が1kWhあたり18.7万円と算出されています。蓄電池の価格は、以下のような要素から構成されています。

  • 本体価格
  • 設置費用
  • メンテナンス費用
  • 交換費用

それぞれ、詳しくご説明します。

蓄電池の本体価格

蓄電池の価格のうち、もっとも大きな割合を占めるのは本体価格です。容量・機能・性能により価格には幅があるものの、蓄電池本体の価格はおおむね50万~300万円がボリュームゾーンです。

容量・機能・性能が控え目になればより少額に、高水準になればより高額になる傾向があります。蓄電可能な容量が大きくなるほど停電時の非常電源として長時間利用できますが、「多大なコストをかけたものの非常時ですら能力を持て余してしまう」といった事態を避ける観点から、一概に大容量である方が良いとはいえません。

利用時の人数や用途をイメージし、非常時に何日の電力をまかなえれば十分なのか計算したうえで、費用対効果が高いと思われる価格帯の蓄電池を購入するようおすすめします。

蓄電池の工事費用

蓄電池の設置時にかかる工事費用としては、20~30万円程度が目安となっています。

蓄電池のメンテナンス費用

家庭用蓄電池に使用されているリチウムイオン電池は、高頻度のメンテナンスを必要としないため支出がたびたび生じることは稀です。ただし、高温多湿な場所に設置したり、通気口がふさがったりすると故障の原因となり、結果的にメンテナンス費用が発生しやすくなります。そのため取扱説明書にしたがって数ヶ月、あるいは数年に一度は自ら清掃や点検を行う必要があります。

蓄電池の交換費用

家庭用蓄電池のメーカー保証期間は10~15年前後に設定されていることが多く、寿命はおおむね15~20年程度と考えられています。寿命が近付くにつれて経年劣化による性能低下が起こるため、蓄電池の容量が減ってきたことを感じたころが買い替えを検討する時期だといえるでしょう。

蓄電池の交換費用は、交換時点の価格相場が適用されるため正確な予想は困難ですが、目安として「2030年度に1kWhあたり7万円以下を目指す」といった目標基準があります。そのため、2030年以降に蓄電池を交換する場合の交換費用は、導入を検討している容量1kWhにつき7万円をかけ算した数値が上限の目安になるでしょう。

蓄電池の価格推移

蓄電池の価格推移は下降傾向にあり、日本では今後も引き続き低コスト化が進むと予想されます。以下の比較表は、2019年時点の諸外国における家庭用蓄電システムの価格水準です。

国・地域名家庭用蓄電システムコスト(工事費なし)
アメリカカリフォルニア州1kWhあたり7.9万円
イギリス1kWhあたり10.1万円
ドイツ1kWhあたり14.2万円
オーストラリア1kWhあたり9.3万円

*株式会社三菱総合研究所「蓄電システムをめぐる現状認識」を抜粋・改編

上記の数値はいずれも同一条件における価格ではありませんが、日本の家庭用蓄電システムコスト(工事費なし)が1kWhあたり14万円であることを考慮すると、おおむね諸外国は日本よりも低コストで蓄電池が普及していると判断できます。

そのため、日本の家庭用蓄電池はまだ低コスト化の余地があり、価格推移は下降傾向が続くものと予想できるのです。現在、蓄電池における議論の場においても、蓄電システムを導入した方が経済的に有利になる状態(ストレージパリティ)の実現に向けた検討がなされているため、下降傾向の継続はほぼ確実でしょう。

知らないと損する補助金情報

蓄電池の導入時、補助金を利用することで費用面の負担を抑えつつ設備を設置できます。蓄電池の補助金は、以下の2つに大別されます。

  • 国が設けている補助金
  • 各自治体が設けている補助金

国が設けている蓄電池の補助金事業は、環境共創イニシアチブ(SII)と呼ばれる組織により運営されているため、国の補助金を探す際にはSIIのホームページから確認することとなります。

一方、各自治体が設けている蓄電池の補助金事業は、それぞれの自治体のホームページを1つずつ確認していかなければなりません。データベースとして補助金情報をまとめたサイトもありますが、あとから補助金の要件に変更が加わり情報が古くなるケースもあるため、自治体の公式ページで確認することを推奨します。

国が設ける2021年度の補助金

2021年度における国の補助金は、家庭用蓄電池を対象とした「令和3年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業」です。この補助金では地域による適用対象の限定はなく、2021年4月9日~2021年12月24日までに応募した設置者のうち、先着順に以下の補助率で補助が行われます。

適用対象(補助率)補助金の概要
家庭用蓄電システム(1/3以内)SIIの対象機器、かつ蓄電システムの購入価格・工事費合計が目標価格以下の場合に「1kWhあたり4万円」の補助
上記条件に合致し、かつTPOモデル(第三者所有モデル)に該当する場合に「1kWhあたり5万円」の補助
家庭用V2H充放電設備(設備費は1/2以内、工事費は定額)次世代自動車振興センターにV2H充放電設備として承認された型式、またはDERアグリゲーション実証事業(B事業)に活用する設備と認められた場合は設備費として「1台75万円」、工事費として「1台40万円」の補助
エネファーム(定額)燃料電池普及促進協会の対象機器である場合に「1台5万円」の補助
エネルギーマネジメント機器・IoT関連機器(1/2以内)エネルギーマネジメント機器、およびDER等設備のIoT化にともなうB事業に活用するための設備にかかる費用のうち「10万円」を補助

*環境共創イニシアチブ「再生可能エネルギー発電等のアグリゲーション技術実証事業のうち分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業」をもとに抜粋・改編

上記のうち、家庭用蓄電システムの補助条件にある「目標価格」は、1kWhあたり16.5万円(設備費・工事費・据付費合計)に設定されています。なお、公募期間は2021年12月24日までとなっていますが、補助申請金額が予算額に到達した場合には受付終了が前倒しとなることにご留意ください。

各自治体が設ける2021年度の補助金

各自治体が設けている蓄電池の補助金は、それぞれ「地域名+蓄電池+補助金」といった語句を組み合わせ、ネット検索を行うと自治体の特設ホームページがヒットします。都道府県が設けている補助金と、市区町村が設けている補助金が存在するため、都道府県と市区町村を個別に調べると検索漏れを防ぐことが可能です。ここでは、いくつかの自治体を例にして、どのような内容の補助金が設けられているのか紹介します。

自治体名補助金の概要
東京都(都内全域)基準価格を下回る機器、かつ新規に導入される機器であるなど一定条件を満たしている場合、上限を42万円として「1kWhあたり7万円」を補助
鳥取県境港市市税の滞納がなく、着工前の蓄電池に対する補助であるなど一定条件を満たしている場合、上限を40万円として「1kWhあたり6万円」を補助
茨城県龍ケ崎市補助対象設備として認定される蓄電池であり、かつ機器が未使用品である場合に「1件10万円」または「1件5万円」を補助

要件は似たものが多いものの、上記のように細かな申請条件はやや異なり、補助上限額や補助金の支給方式も違います。自治体によっては、毎年要件を変更しているケースもあるため、前述した通り必ず自治体の公式ページから最新情報を確認するようにしてください。

おわりに

自宅に導入することで停電時の備えとなり、太陽光発電パネルとの併設による電気代節約や、電気自動車の充電設備としての利用など、蓄電池は生活を豊かにするさまざまな使い道があります。

蓄電池のメリットに魅力を感じ導入を検討しているのであれば、国・自治体が環境保全に力を入れて補助金を設けているいまこそ、蓄電池を購入する絶好の機会だと考えられるでしょう。要件にさえ合致すれば、数万円から数十万円の補助金を受け取れるため、ぜひ本記事を参考に利用できる補助金を探してみてください。

なお、蓄電池の具体的なメーカー・製品については、当メディアの記事「住宅用蓄電池メーカー比較」で取り上げています。こちらもあわせてご参照ください。

EnergyShift編集部
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