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トヨタは自給自足できるEVを投入 トヨタv.s.ニッサン、懐かしのTN戦争再発

2021年11月25日

トヨタ、日産はEV化の波に乗れるのか

SUBARUのAWD技術、X-MODEを採用(AWD車、トヨタ初)。また、X-MODEの新たな機能としてGrip-Controlを新開発し搭載。モーター駆動の特性を活かすことで、日常ユースからライトオフロード以上の走行まで対応、BEVの期待を超える高い走破性を実現』とトヨタは公表している。

日産からの公表には『e-4ORCEは、日産GT-RのアテーサE-TS(電子制御トルクスプリット4WD)で培った技術から生まれた新開発の4輪制御技術です。駆動力制御とシャシー制御の効果を最大化するためのノウハウを融合。前後に2基の電動モーターを搭載し、前後のトルクと4輪のブレーキを緻密にコントロール。これにより、新次元の“プレミアムな走り”を実現しています。素早いレスポンスと滑らかな加速、減速時も揺れの少ない快適な乗り心地、操作に忠実なハンドリング性能、そして、路面を問わない安心感などを実現。誰もがスムースで思い通りのドライビングを楽しむことができます。』と、4輪電動制御による異次元の走りに期待せよと記されている。

テスラや中国メーカーなど、新興のEVメーカーに対する老舗自動車ブランドのストロングポイントはここであろうとトヨタも日産も狙いを定めているわけだ。

数年前のことだが、出張先でドローンのレースを見る機会があり、私は度肝を抜かれた。ものすごいスピードで飛翔するレーシングドローンは”曲がる””止まる”運動性能が異次元だった。ドローンの運動性能は4つのローターにモーターが直結され、それぞれのスピードコントローラを中央のフライトコントローラが制御している。つまり遅延がない4チャンネルダイレクト制御がとてつもない運動性能を生んでいるのだ。4輪のラジコンドライバーたちはこぞってドローンレーサーに転向しているようで、日本の有名なラジコンメーカーも気がつくと業績悪化により、身売りしていた。

トヨタが連覇を果たしているモータースポーツ、ル・マン24時間レースやWRCのレースに使われている4WD車両も、もはや電動独立制御があたりまえだ。理論的にどんどん早くなる車両とドライバーがどうコミュニケーションすると高速かつ長時間の安定性を得ることができるかが現代のレーシングカー開発の大きなテーマだ。

遅延がないダイレクト制御の恩恵は、ドライバーが意のままに操る瞬間でなくても、先進運転支援システムや自動運転モードでも受けることができる。完全電動車における4WDは、ドライバー=オーナーである自家用車市場においては、大きな付加価値を創造する可能性を秘めたテクノロジーなのである。

商用車のEV化の波は早い

もうひとつの“令和のZEVモータリゼーション”は商用車だ。カーボンニュートラルやサスティナビリティ・トランスフォーメーションを命題として市場が注目し、さらにコロナ対策による金融緩和によるマネーの投資先としてグリーンテクノロジー産業をターゲットにしている。上場企業の経営者たちにとっては、自社の株価にも影響を与えるテーマなので、カーボンニュートラル実現の時期を定め、毎年目標値を設定して実現するために、使用電力の再エネ化、社用車や運送、調達をカーボンニュートラルへシフトしてゆく動きが顕著だ。

このように社会性を重視する企業は大企業が多く、その取引先までふくめたカーボンニュートラル圧力は日に日に高まっている。社用車のEV化、EVを使った物流への切り替えは、カーボンニュートラルに貢献できる分野として注目されている。走行距離が長い車両ほど、燃料費削減効果を計算できるためEV化のためのコストアップも圧縮され、個人所有のクルマがEVに置き換わるよりも、ずっと速いスピードでEV化の波はB2B領域で進むことになる。

大企業からの調達先に選ばれたり、政府や地方公共団体など公的な発注を得るために、車両や物流のBEV利用が競うように進むと思われる。

日産と三菱は共同軽自動車プロジェクトであるNMKVで生産するBEV軽自動車を、2022年度初頭に発売するとアナウンスしている。アリアやbZ4Xを社用車につかうことは車格の面からも、価格の面からも難しく、補助金が得られると約200万円から購入できる日産や三菱のBEV軽自動車の社用車としての期待は大きいと思われる。さらに中国のBEVを日本の規格や業務に最適化させて輸入する商用車も注目されている。

選ばれる企業になるためにBEVを選ぶ。このようなビジネス環境がスタートする年、それが2022年だと言える。

 

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三浦和也
三浦和也

⽇本最⼤級のクルマ情報サイト「レスポンス」編集⼈、社⻑室⻑ アスキーにてWEBメディア編集を経て、1999年に⾃動⾞ニュースサイト「オートアスキー」(現レスポンス)を⽴ち上げ。2000年にはiモードでユーザー同⼠の実燃費を計測する「e燃費」を⽴ち上げる。IRIコマースアンドテクノロジー(現イード)に事業移管後は「レスポンス」の編集⻑と兼任でメディア事業本部⻑として、メディアプラットフォームの構築に尽⼒。2媒体から40媒体以上に増やす(現在は68媒体)。2015年にイードマザーズ上場。2017年からはレスポンス編集⼈、社⻑室⻑として次世代モビリティアクセラレーター「iid 5G Mobility」を開始。既存⾃動⾞産業へのコンサルティングと新規モビリティベンチャーへの投資や協業を両⾯で⾏い、CASE/MaaS時代のモビリティを加速させる⽴場。最後のマイカーはプリウスPHV。現在はカーシェアやレンタカーを利⽤するカーライフ。

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