豪州や中東、米国などでつくられた水素を輸入する大規模なサプラチェーンの構築に向けた実証が進む中、大林組はニュージーランド、そして大分県九重町にある地熱発電の電力で水を電気分解し、グリーン水素の大量生産の検証に取り組む。
LNGなどを水素の原料にしたり、水の電気分解に化石燃料由来の電力をつかう限り、本当にグリーンな水素とはいえない。また製造時に出たCO2を回収するにしても、CCUSの技術もまだ確立できていない。大林組では2017年12月にニュージーランドのトゥアロパキ・トラスト社と提携、トゥアロパキ・トラスト社が所有する地熱発電所の電力からCO2フリーの水素製造および輸送に向け実証を重ねてきた。2021年3月、1.5MWの水素製造能力を持つプラントが運転開始し、年間100トンのグリーン水素(液体)を日本に輸送するサプライチェーンの構築を目指している。
また2021年7月には、大分県九重町で開発していた地熱発電所とその電力を利用する水素製造システムの実証プラントが完成した。実証プラントは出力125kWの地熱発電と、FCV30〜40台分の燃料を供給できる10Nm3の製造能力を持つ水素製造システムからなる。つくったグリーン水素はトヨタの水素エンジン車両などに提供する。トヨタやヤンマーなど複数社に供給するまでの一連のプロセスを実証する取り組みは日本初だという。
地熱発電電力を活用したグリーン水素製造実証プラント(大分県九重町)
出典:大林組
大林組は、2021年度が最終年度となる中期経営計画において、水素を含めた技術開発に1,000億円以上を投資し、再エネ由来のグリーン水素を主力の建築業を補完する新たな収益源にする狙いがある。
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