太陽光発電がSDGsへの道を照らし、グリーン・リカバリーに寄与する ―グローバル・ソーラー・カウンシル/バーチャル・フォーラム | EnergyShift編集部

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太陽光発電がSDGsへの道を照らし、グリーン・リカバリーに寄与する ―グローバル・ソーラー・カウンシル/バーチャル・フォーラム

太陽光発電がSDGsへの道を照らし、グリーン・リカバリーに寄与する ―グローバル・ソーラー・カウンシル/バーチャル・フォーラム

EnergyShift編集部
2020/11/12
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太陽光発電業界の国際的な業界団体であるグローバル・ソーラー・カウンシル(Global Solar Council)は2020年10月27‐28日にバーチャル・フォーラムを開催し、持続可能な未来に向けて、太陽光発電の果たす可能性などが議論された。実際にどのような発言がなされたのかを紹介する。

コロナ危機の下で、SDGsを加速させる太陽光発電

グローバル・ソーラー・カウンシル(GSC)は、2015年に設立された、太陽光発電業界の非営利団体で、ワシントンDCに拠点を置く。

GSCによると、今回のバーチャル・フォーラムの背景には、新型コロナウイルスにより低下した経済活動を活性化させる計画の中で、太陽光発電は雇用、健康、教育、男女平等、貧困緩和の面で効果を示しているということがある。太陽光発電は、環境、社会、経済の面で様々なメリットをもたらし、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に向けた取り組みを加速させる上で、重要な役割を果たすことができるという。

コロナ危機によって、脱炭素化経済への移行を加速させ、すべての人にとってより良い未来を確保する必要性が浮き彫りになったため、太陽光発電(PV)はコスト競争力のあるクリーンなエネルギー源としてだけでなく、グリーン・リカバリー計画のための魅力的な投資機会としても浮上してきた。太陽光発電が短期的にも長期的にも持続可能な成長をもたらすという認識が深まってきたといえよう。

また、SDGsと太陽光発電の関連性はあきらかだという。現在、7億8,900万人の人々が電気を使うことができず(SDG7)、3億人の子供たちが小学校で電気を利用できない状態にあり(SDG4)、世界人口の90%が大気汚染のために危険にさらされている(SDG3)。その一方で、1,150 万人が既に再生可能エネルギーで雇用されており(SDG8)、そのうちの 32%が女性である(SDG5)、ということだ。

GSCのGianni Chianetta会長は、「気候変動と闘い、今後数十年の間に脱炭素化経済へと移行する上で、太陽光発電が非常に重要であることは周知の事実です。しかし、気候を守り、環境を守るという重要な目標に加えて、太陽光発電に投資することで多くのメリットが得られることも留意しなければなりません。太陽光エネルギーは地球だけでなく、人間とその繁栄にとっても不可欠なのです」と述べている。

国連事務局経済社会局の持続可能な開発上級担当官であるBahareh Seyediは、「太陽光発電は、SDGsを加速させるための絶好の機会を提供しています。太陽光発電はすでにエネルギーシステムの変革を推進しており、その統合的な活動を通じて多くのSDGsに影響を与える波及効果をもたらすでしょう」と述べている。彼女は特に、クリーンなエネルギーへのシフト(オングリッドとオフグリッドのいずれでも)は、より良い健康とサービスの提供、グリーン雇用とグリーン成長の創出、女性のエンパワーメント、きれいな空気と汚染の削減、ネットゼロエミッションへの道を開き、回復力のあるコミュニティを実現することに役立つと指摘した。

2030年までに太陽光発電が総発電量の13%に

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の「変容するエネルギーシナリオ」では、2017年から2030年の間に世界の発電量に占める再生可能エネルギーの割合が2倍以上に、また、2030年までに太陽光発電が総発電量の1.7%から13%になると予測している。この急増は、太陽光発電が他のどの再生可能エネルギー技術よりも多くの投資を集め、2030年までに1,170万人という最も多くの雇用を創出することを意味し、大気汚染の減少などによりGDPと福祉の向上にも貢献することでもあるという。

IRENAの知識・政策・金融センター所長Rabia Ferroukhi博士は、「特に新型コロナウイルスが世界的な感染を引き起こした状況では、自然エネルギーやエネルギー移行関連技術への投資の拡大が、最初の数年間で大きなメリットを発生させることが重要です。再生可能エネルギーは、幅広い経験とバックグラウンドを持つ人々に新たな雇用の機会を提供し、その結果、地域の価値創造のための良い機会となり、他のSDGsを推進する可能性をももたらします」と述べている。

国際太陽エネルギー協会(ISES)の理事であるPaulette Middleton博士は雇用について、太陽光発電産業で直接雇用されている人々だけでなく、太陽光発電を可能にする産業や、太陽光発電を利用したり、推進するすべての人に関連する多くの仕事をカバーしているとして、「あなたが考えているほとんどすべての職業は、太陽光発電に関連することができますし、すでに関わっています」と述べている。そのため、Middleton博士は、将来の太陽光発電の仕事のためのスキルを開発し、能力を構築するために、学校の子供たちから技術訓練や専門能力の育成、さらには一般の人々全体の教育にまで及ぶプログラムを開発することを勧めている。

太陽光発電でクリーンな水も

太陽光発電の「波及効果」は、オフグリッド技術によってエネルギーへのアクセスを増やし、たとえば太陽光を使用して費用効果の高いグリーン脱塩システムを開発するなど、すべての人にクリーンな水を提供することで得られる経済的、社会的、健康的な利益ももたらす。

オフグリッド太陽光エネルギーの協会GOGLAの政策・地域戦略責任者であるPatrick Tonui氏は、世界のオフグリッド・ソーラー産業は、わずか9年間で2億8,000万人の人々に、手頃な価格でクリーンな電力へのアクセスを提供してきたと述べた。燃料として灯油のおよそ40%が、太陽光に取って代わられるなど、プラスの影響をもたらしている。Tonui氏は「どのような規模でも、オフグリッドの顧客は日常生活でかなりの副収入を得ることができます。これは重要なことです。2022年までに新興国で約131万人のフルタイム雇用を創出し、その半分以上が農村地帯で創出されます」と述べた。

国際脱塩協会(IDA)のShannon K. McCarthy事務局長は、「増加する世界の水需要を満たすために再生可能エネルギーを取り入れることで、脱塩で発生するCO2を削減し、海水淡水化のコストを下げるというIDAが提唱しているH2OマイナスCO2ソリューションにおいて、持続可能な成長と貧困の削減における太陽光発電産業の役割は重要である」と述べている。

取り除くべきは政治的障壁

一方、SDGsに向けて急速な進展を確実にするためには、各国政府や諸機関が統合的な視点をもって、太陽光発電への投資を拡大するために必要な法制度や規制の枠組みを整備し、太陽光発電技術の大規模な導入の障壁を取り除くことが重要となるという指摘もなされた。

気候行動ネットワーク(CAN)の上級アドバイザーStephan Singer博士は、「世界の脱炭素化には、エネルギー効率や他の再生可能エネルギーの普及・経済性にもよるが、2030~2040 年までに太陽光発電への投資を約6倍の年間8,000億ユーロに拡大する必要があります。そのための障壁は財政的、技術的なものではなく、立法的、政治的、官僚的なものです。私たちは、国や地域に応じたオーダーメイドの適切な法律を必要としているのであって、万能の解決策はありません」と述べた。

環境系コンサルタントDWR ecoのCEOであるDavid Wortmann氏は、「気候変動に対抗するためには、ビジネスとテクノロジーの両面によるソリューションが必要です。クリーンなソリューションを推進するためには、温室効果ガスを排出する競合技術との公平な競争の場を設定する必要があります。そのためには、強力な政治的目標とインセンティブの構築が必要です」と語った。

今回のバーチャル・フォーラムを通じて、太陽光発電はSDGsへの道を照らし、グリーン・リカバリー計画に幅広いメリットをもたらすことが、あらためて確認されたということだ。

Global Solar Council "Solar power lights the way towards the SDGs with broad benefits for green recovery plans" 2020.10.28

(Text:高森徹夫)


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