太陽光パネル製造や新電力事業を手がけるアンフィニ(大阪市)は、2020年1月の電力需給ひっ迫による電力価格の高騰を受け、経営に行き詰まり、9月30日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請した。帝国データバンクによると負債総額は87億円。スポンサー企業からの支援のもと事業を継続しながら再建を目指す。
アンフィニが倒産した。1995年の設立当初は防犯カメラなどのセキュリティシステムの販売などを手がけていたが、2004年から、その当時、需要の高まりから世界的に価格が高騰していた太陽電池の原料(シリコン)事業を開始する。2006年には太陽光パネルの開発をはじめ、2010年からは「ジャパンソーラーブランド」を立ち上げ、太陽光発電システム全体の販売に参入していた。
2012年にスタートした固定価格買取制度(FIT)の追い風を受け、システム販売を順応に伸ばすとともに、太陽光発電所のEPC(設計、調達、建設)事業を強化し、メガソーラー案件を数多く受注。さらに2016年の電力自由化以降は、「Japan電力」のブランドで一般家庭向けなどに電力を販売する新電力事業も積極的に展開するなど、FIT価格が引き下げられる中でも業績を拡大し、2017年3月期には、165億円を売り上げていた。
一時は上場も視野に入れるなど、順風満帆に見えた同社だが、太陽光パネル製造に進出したあたりから雲行きが怪しくなる。
経済産業省による「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」を利用し調達した約48億円などを活用し、2017年7月、福島県楢葉町に福島工場を建設。総工費75億円をかけ、2018年3月期には年間100MW、40億円の売り上げを見込んでいた。さらに「Made in 福島」という品質を武器に、300MWまで増産し、海外輸出と意気込むも、中国メーカーとの価格競争には勝てず、稼働当初から大量の在庫を抱えてしまう。
補助金の条件であった現地雇用による人件費の増加も重なり、業績は急激に悪化。
経産省と交渉の末、リストラを進め、60名以上いた人員は、2019年5月末には20名まで縮小するも、稼働率はあがらず、さらに経営幹部の離脱などもあり、ガバナンスがうまく機能しなくなっていた。
経営環境が大きく変化する中、昨年末からの電力需給のひっ迫により電力価格が急騰し、その煽りを受け、小売電気事業の採算も悪化する。2021年3月の売上高は約53億円にまで減少し、14億円の純損失を計上した結果、11億円の債務超過に転落した。
インバランス料金の分割返済や金融機関にリスケを要請するなど、資金繰りに努めるも、限界に達し今回の措置となった。負債総額は87億円にのぼる。支援に名乗りをあげている企業と協議を進めており、契約者にはこれまでどおり、電力を供給しながら、再建を目指すとしている。
(Text:藤村朋弘)
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