英ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は10月28日、大企業及び金融機関に対し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づく情報開示を義務化する会社法規則案を発表した。2022年4月6日以降の会計年度の報告から適用される予定で、義務化するのはG20諸国の中で初めてとなる。
対象企業は1,300社以上。ロンドン証券取引所に上場している大手企業や金融機関の他、従業員数500人以上、売上高5億ポンド以上の民間企業が含まれる。
英国は、2050年までに炭素排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」を目指しており、企業はこの目標に基づき、温室効果ガスの削減目標や同目標達成に向けた実現可能なステップなどを示すことが求められる。一方、計画の実行そのものは義務付けられておらず、環境保護活動グループからは十分でないとの指摘も出ている。
TCFDは、金融安定理事会(FSB)によって2015年に発足した、気候関連の情報開示や金融機関の対応を検討するタスクフォースだ。TCFD が10月14日に発表した報告によると、2015年12月のTCFDの発足以来、TCFD提言に基づいた情報開示を行っている企業が初めて調査対象の50%を超えた。2019年から2020年には情報開示が加速しており、今年10月時点で世界の2,600以上の企業・機関がTCFDの提言に賛同を表明している。
リシ・スーナク財務相は、11月3日、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で演説し、ネットゼロ達成に向けた投資の重要性に言及。イギリスが「初のネットゼロに即した金融の中心地」として世界をけん引すると説明した。また、同日には世界の機関投資家や金融機関などで構成する業界団体「ネットゼロに向けたグラスゴー金融連合(Glasgow Financial Alliance for Net-Zero:GFANZ)」が、ネットゼロ目標に賛同する金融セクター企業の資産額が世界の金融資産の約40%に相当する130兆ドル超となったことを明らかにした
英国政府は、2050年までにネットゼロという野心的な公約を達成するため、大企業や投資家を含む金融機関を中心に気候変動対策への取り組みをけん引していく狙いだ。
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