-センターの部分ですが、日本ではスマートメーターのデータをマーケティングなどに活用することなどが進められています。
高見氏:スマートメーターから集まったデータは、間違いなくビッグデータです。問題は、一方で、電力取引やデマンドレスポンスの用途でデータの鮮度を追求する方向性があり、他方では大量のデータを蓄積、分析した上で販売し、あるいは系統運用に活用する、災害対策として利用する、といったニーズがあります。
センターシステムに求められているものは、大量のデータを速く収集配信し、同時に分析しやすい形で蓄積していくことです。この点については、現在、グーグルと提携し、次世代技術の開発を進めています。
―スマートメーターに対して日本では、住宅用太陽光発電やEV充電設備などに対応した、特例計量への対応も議論の対象となっています。
高見氏:東京電力だけでも約3,000万台のスマートメーターがあります。これに家庭用の太陽光発電やEV充電設備などにつけられるメーターがつながっていくと、1つの電力会社だけで1億台のメーターということにもなりかねません。こういった大量の計量について、どのように最適化していくのかは、早く検討を着手すべきだと思います。
そのためにも、エッジの高度化、通信などの標準化、多様で膨大なデータの配信や分析手法というのは、これから取り組むべき課題だといえるでしょう。
これは、電力計におけるパラダイムシフトです。グリーン化する世界においては、GAFAに匹敵するようなことだと思います。
―しかし、スマートメーターの性能を高度なものにすれば、コストもかかります。適切な機能の水準というものがあるのではないでしょうか。
高見氏:エネルギーシステムは今後、デジタル化、レジリエンス、カーボンニュートラルという方向に進んでいきます。また、EVや太陽光発電の導入が増加することも想定しています。そういった将来に向けて、どのような機能が必要なのかは、経済産業省でしっかりと議論していると思いますので、我々としてはしっかりと対応していきます。
ところで、現在の日本のスマートメーターですが、データが取得できているという点ではかなり優秀です。
技術の運用は制度とセットになっています。海外ではスマートメーターの運用にあたってMDMS(メーターデータ管理システム)が、スマートメーターが取得できなかったデータについてシステムが推計値を算定して簡易的に調整するしくみを備えています。その点、日本ではデータを100%取得しようとしていますが、これは品質の高いネットワークがあるからです。同時に、日本では完璧なものを求める傾向があるから、100%データを取得しているともいえます。高度な性能を求めるにあたって、どこまでの完璧さを求めるのか、ということも考えられるべきことです。
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