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エネルギー関連企業の中から、最新の銘柄動向を紹介する「このグリーン銘柄がアツイ!」。第2回はカナダの化石燃料処理事業を手がけているSecure Energyを取り上げる。環境負荷の低減だけでなく、先住民問題にも取り組むこの企業がいまアナリストから注目されている理由とは。
今回注目のグリーン銘柄:Secure Energy Services Inc. SES CA
カナダ・トロント証券取引所に上場するセキュア・エナジー(Secure Energy Services Inc. SES) は、2007年創業のカナダのエネルギーサービス企業です。上流の石油・天然ガス企業たちに対し、環境に配慮した化石燃料処理・処分事業をカナダで提供しています。
クリーンエネルギーとは真逆分野ともいえる石油産業に対してのソリューションを行いながら、環境問題にもしっかり取り組んでいるという点が素晴らしいです。
現在はPBR0.64(日本円換算で、時価総額382億円程度)と、とても割安です。個人投資家には、この企業の潜在的な魅力が見抜けていないのでしょう。
最新株価3.01カナダドル(約240円)。開示されている最新の財務諸表は日本円換算で、資産1,354億円、負債686億円、資本668億円のしっかりとした財務体質であり、売上2,525億円、営業利益19億円の成績です。
セキュア・エナジーの取り組んでいるPRD(Processing, Recovery and Disposal:処理・回収・処分)事業は、石油・ガス業界のお客様に安全な処理・処分を提供する施設・埋立地についての研究を行っており、原油の輸送・処理・末端処理・処理後の環境効率性にも力を入れています。
生産物および排水処理、油田廃棄物処理、固体廃棄物処理の全サイクルを通して、環境問題に考慮しているのですが、生産や最終埋立で発生する流体・固体副産物の処理については、環境問題が重視される今の時代に沿った、革新的で効率的かつ環境に配慮したソリューションを開発しています。
環境への潜在的な負の影響を意識して、環境と公衆衛生と安全を考慮した施設の設計、建設、運営に取り組んでおり、それを実現するために、適切な人材を雇用し、ワールドクラスの施設を建設し、高品質で最新の設備を稼働させ、安全で革新的なソリューションをお客様に提供することに重点を置き、クラス最高のエンジニアリングとオペレーションを駆使して、炭化水素の回収量を最大化し、廃棄物量と環境への影響を最小限に抑えることにつとめています。
また、カナダの先住民であるアボリジニの権利と利益を認め、多様性を尊重したビジネス文化を推進することに尽力しています。この価値観を守るために、カナダ先住民ビジネス協議会(CCAB)などのメンバーとして、誇りを持って活動し、アボリジニのコミュニティと産業界の間で効果的で強固なビジネス関係を構築し、個人の成長と繁栄を共有することを支援しています。彼らのためにも環境を守らねばなりません。これもサステナビリティ(持続可能性)の考えに通じますね。
さて、セキュア・エナジーは時価総額382億円で比較的小規模企業ですが、機関投資家が実際に会社の半分以上を所有していることに注目する必要があります。ヘッジファンドはごく少数で意味のある投資をしていないです。
Burgundy Asset Management Ltd.が現在の筆頭株主で、発行済株式の約19%を保有しています。
QV Investors Inc.は普通株式の約11%を保有する第2位の株主であり、Caisse de dépôt et placement du Québecは同社株式の約8%を保有しています。同社CEOのRene Amirault 氏は、発行済株式総数の約3%を直接保有しています。しかも、彼は、過去1年間で、1株あたり約3.76カナダドルでの株式の購入でした。
つまり、株価が3.01カナダドル(最新株価)よりも高かったレンジで、インサイダーが株式購入をした(自社株購入)ということです。購入が行われた後、彼の見解は変わったかもしれませんが、これは少なくとも彼が会社の将来に自信を持っていることを示唆しているでしょう。
個人投資家にとって、インサイダーが株式に対して支払う価格を考慮することは非常に重要です。一般的に、インサイダーが最新株価以上の価格で株式を購入した場合、私たちは当該株式売買について、よりフェアに感じます。
このように、事業性にしっかりとした中身のある割安株においては、機関投資家の保有データを調査することは有効であり、また、株価のトレンドを知るためにアナリストの心情を調査することも理にかなっています。
調べてみますと、かなりの数のアナリストが同社の株式をカバーしているので、成長予測を簡単に調べることができます。
もちろん、今の株価ですと、かなりの割安といえますので、多くのアナリストも、Buyの表示(購入すべき)をされています。(環境問題も考えた良い企業で割安株ですし、この株価レンジですと、逆に、Buyしか指し示せないかもいしれませんが。笑)
ちなみに、アメリカSNSのレディット(Reddit)を起点に繰り広げられたゲームストップ社の乱高下は、個人が集団で動けば、機関投資家をも顧客とするヘッジファンドも打ち負かせることを示し、空売り仕手筋が泣きを見た恐ろしい現場でした。しかし、急激なボラティリティは、うまく波に乗れれば大きく稼げますが、その逆もまたあり・・・怖いです。これから売買規制も入るでしょう。
そのような銘柄や投資背景に関わるものも、個人投資家にとっては楽しいのでしょうが、今回ご紹介したセキュア・エナジーのような企業をあまり潜在価値が知られていない間に、しっかり仕込んでおくという投資方針も、また真の投資方法だと感じております。
最後になりますが、匿名で現在および元の従業員が会社をレビューする人気Webサイト「Glassdoor」によると、セキュア・エナジーは、5段階で3.6という高評価。お仕事に誇りを持っていらっしゃる様子が見て取れました。素晴らしいですよね。
(Glassdoorは、海外M&A調査をするときにも、社内の空気を感じ取るために、よく参考にするオススメのサイトです)
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