また、質問は気候変動対策についても及んだが、こちらの回答についても、それぞれの候補の立ち位置が鮮明に見える格好となった。
質問は、高校生が、高校生の立場から、気候変動の進展している現状への危機感の共有と若者が行動に移しているという現状紹介があった上で、各候補に対して、気候変動対策に対する考えを聞くというものであり、ここでこそ気候変動対策のためのCO2削減の重要性にいずれの候補も言及した上で、その上でのカーボンニュートラル・脱炭素施策についての見解が述べられる文脈であったが、結果はそうはならなかった。
高市氏は、高校生の問題意識を、災害の激甚化に対する懸念と理解し、防災対策や建築・土木技術の開発に力を入れるとの説明を展開。やはり総務大臣時代の経験の延長での施策展開という思考がうかがえた格好だ。
また、脱炭素手法も紹介をしたが、EVの蓄電池活用、水素ステーション、EVの充電設備などの列挙にとどまった。列挙されたものはいずれも、再エネ普及があってこそ活きてくる手法であり、根本的なCO2削減策にはつながらないものであった。
野田氏は、日本における気候変動への関心が低いという問題提起を行い、そこから教育に展開。教育の中で気候変動問題などをしっかり学んでいける取組みをやっていく、という形で回答を行った。
リテラシーの向上という論点は重要であるが、高校生がすでに危機感をもって行動をしている、という紹介をした背景には、喫緊、大人世代がどのような気候行動を取ってくれるのかを聞きたいという考えが明快にあっただけに、ここで具体的な気候変動対策手法に言及しなかったことは、エネルギー・気候変動が自身にとって得意でない分野であるということを表したともいえる。
一方、この分野に強みを持つ河野氏であるが、皮肉にも野田氏のトーンを引きずる格好となった。現状は気候危機であるとの言及をしたものの、日本の技術を活かして世界に貢献する、そして一人一人が自分事で考えることが重要であるとの見解にとどまり、抜本的な脱炭素の取組み推進などには話が及ばなかった。
また、外相経験者である岸田氏も企業や一人一人の取組みが大事であるとの言及にとどまり、具体例として挙げたのもLEDへの切り替えや、シャワーではなくお風呂に入ることによる節電といった論点にとどまった。質問者の気候変動リテラシーが高かったこともあり、また、外相経験者である両名であれば、気候変動対策を緩和・適応の2つの側面から、具体性をもって説明をできる論点であったように思えただけに、意外な結果であったともいえる。
全体を通して見えたものとは・・・次ページへ
エネルギーの最新記事