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原油、天然ガスに続きウランも高騰、脱炭素化によりファンドが投資拡大

原油、天然ガスに続きウランも高騰、脱炭素化によりファンドが投資拡大

2021年10月15日

供給不安を背景に原油、天然ガスが高騰している。それに伴い、原子力発電所の稼働に必要なウランも値上がりしている。世界的なエネルギーの供給危機が深刻化する中、天然ガスの代替手段として、発電コストが割高な石油火力発電を稼働する動きが出てくる可能性も高まっており、原子力発電の燃料であるウランの国際価格が上昇に転じているためだ。

ウランは鉱石を製錬してできるウラン精鉱が基礎原料として広く取引されている。ウランの国際スポット価格は9月中旬時点で1ポンド50ドルと2012年以来の高値を付けた。

ウランの国際価格は、原油安や東日本大震災による原発事故などを背景にその後は低迷が続いていたが、世界的なエネルギー不足の一方で、脱炭素化の流れを受け原子力発電が注目され、相場が騰勢を強めている。こうしたウラン相場の先行きに前向きな見方を示しているファンドも少なくないという。

直接のきっかけは、カナダのトロント証券取引所に上場する「スプロット・フィジカル・ウラニウム・トラスト」というファンドによる大量買いだ 。

同ファンドは、もともと上場していたウラン投資会社を、カナダのファンド運用会社「スプロット」が再編する形で設立し、今年7月中旬から運用を開始。投資家から集めた資金で現物のウランを購入し保有するのが特徴だが、多くのファンドは鉱山株を通じてウランへの投資を増やしている。そのため、鉱山会社に追い風が吹き、年初からの株の上昇率は58%に達しているという。

 今年10月に入り、天然ガスと石炭の価格が急騰して過去最高値を記録。欧州や中国ではエネルギー危機が深刻化しており、各国政府は安定的なエネルギー供給に向け、原子力発電の利点に注目しつつある。

フランスのマクロン大統領は10月12日、電気自動車(EV)や水素燃料、効率的な原子力発電所などの技術開発を促進するため、総額300億ユーロ(約3兆9,000億円)の投資計画を発表した。

ウランは長期契約での調達が主体のため、短期的なスポット価格の上昇が原発計画やコストに与える影響は小さいが、「脱炭素」に投資マネーが集まっており、原子力発電の今後の動きが注目されている。 

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