2021年6月から7月にかけて、米国のEVスタートアップの上場が相次いだ。EVメーカーも多様性の時代に入ってきたといえる。6月にNASDAQに上場したProterraもその1社だ。Proterraは、カリフォルニアを拠点に全米で電動バスなどの製造から販売までを手掛ける。今回は、乗用車に比べて電動化が難しいといわれていた大型商用車の分野に挑戦するProterraについて紹介する。
2004年に設立されたProterraは、テスラやフォード、GM、BMW、ダイムラーなど、大手メーカー出身の電気自動車(EV)エンジニアたちが所属している。「Clean, Quiet Transportation for All(すべての人にクリーンで静かな輸送を)」というビジョンを掲げ、電動のバスやトラック、建設用機器、充電設備などを製造・販売する会社だ。
Proterraの特長の1つは、蓄電池や車体の設計を自ら行っていることだ。重い蓄電池を搭載して走る車体には、航空分野から着想を得た炭素繊維複合材料を採用している。車体の軽量化によって大容量の蓄電池を搭載できるようにした。
また「Duo Power」という2つのモーターを備えた駆動システムによって、高いエネルギー効率を発揮できるよう工夫されている。重量が大きいために電動化に不向きといわれるバスやトラックにとって、画期的なソリューションだ。
Proterraは「Proterra Powered」「Proterra Transit」「Proterra Energy」という3つのセグメントでビジネスを展開している。
Proterra Powerdは、蓄電池と駆動システムのセットを他の自動車メーカーに向けて提供するものだ。蓄電池はモジュール式のため、柔軟な配置が可能となっている。ダイムラーのスクールバスやコマツのショベルカーなどに採用された実績をもつ。
Proterra Transitでは「ZX5」という同社オリジナルの電動バスを提供している。ラインナップは、乗客定員29名と40名の2種類。29名用には450kWhの蓄電池が搭載され、1回の充電で最大240マイル(約384km)走行できる。定員40名の方は675kWhで最大329マイル(約526km)の走行が可能だ。どちらも550馬力で、アップダウンの多いエリアでも快適に走行できるという。
Proterra Energyは、商用車向けのエネルギーサービス。電動化に伴って必要なあらゆる設計から運用、保守といったソリューションを提供する。顧客の規模や用途に合わせて、車両や充電設備の最適な導入台数を提案するだけでなく、常時監視などのオペレーションのサポートも行っている。
導入にあたっては、購入だけでなく初期投資のない従量制のリースプランも用意している。また、導入後のサポートでは、車両を使い終えた後のリサイクルを含むライフサイクル全体をカバーしている。
2021年3月、Proterraは使用済み蓄電池のリサイクルに関して、同じカリフォルニアのスタートアップRedwood Materialsと提携した。
Redwood Materialsは、テスラ出身のJB Straubel氏がCEOを務め、EVの使用済み蓄電池をはじめ、さまざまなマテリアルのリサイクル事業を展開している。7月末には、ゴールドマンサックス系の投資ファンドから7億ドルもの外部資金を調達した注目株だ。
この提携によって、Proterraのすべての使用済み蓄電池はRedwood Materialsによってリサイクルされることになるという。リサイクル後は、再びProterraの定置用充電設備などとして利用されるとみられる。
実は、Straubel氏とProterraのCOOであるJosh Ensign氏がテスラ時代の同僚であったため、今回の提携はスムーズに進んだということだ。
8月11日に公表されたProterraの2021年の第2四半期の業績は5,900万ドルとなり、前年同期の4,200万ドルから39%増加、過去最高を記録した。すさまじい伸びだ。6月のNASDAQ上場を受け、今後もこの勢いは止まりそうにない。
また、この決算発表と同日に、韓国LG化学の子会社であるLG Energy Solution米国法人とのバッテリーセル供給契約を延長する意向を表明した。当初2024年とされていた契約期間を2028年までとし、安定供給の確保を狙う。
電動バスの北米シェアでトップを走るProterraの今後が期待される。欧州勢を含むライバルの出現にも注目したいが、何より、日本企業の活躍を心待ちにしたいところだ。
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