前回は、日立製作所(以下、日立)の環境戦略全般を見てきた。今回は事業において具体的にどのように脱炭素をすすめるかをみる。
日立のバリューチェーン全体でみた温室効果ガス排出量は以下の通り。
では、これらをどう削減していくか。大きな取り組みは5つにわけられる。
順番に見ていこう。
まず自社の事業所、生産活動におけるカーボンニュートラル。主に、電気だ。日立では、国内260万MWh(57%)、海外200万MWh(43%)で、合計460万MWhの電気を購入している。
再エネ比率は、国内では再エネ導入量は25,100MWh、国内の1%程度になる。海外は11万6,300MWhで海外では6%が再エネだ。日立グループ、つまりグローバルでみると3%が再エネにあたる。
たった3%とみるか、3%もあるとみるかだが、2019年度は1%。つまり3倍になった。今年の開示ではさらに上積みがあるはずだという。日本でのパーセンテージも大きく増える予定だ。
増やし方は、原則的にGHGプロトコルで決められている6パターンを踏襲する。自社導入、コーポレートPPA、オフサイトPPA、再エネ証書の順番だ。再エネ電力の購入も、それだけでなく、旧一電から購入するときにもグリーン電力を購入していく。「全方向」で展開するという。
全方向という意味は、現在の電力調達のしくみだけでなく、将来の調達方法をも見越したものという意味だ。
例えば、VPPA(バーチャルPPA)なども検討を進めているが、日本の制度がまだ追いつかないという。現在は託送料金がかかり、グリッドパリティは難しい。VPPAの考え方だと、遠方での発電を電力はJEPXに流し、非化石価値は自分たちで持つということができる。
「先取りの取り組みは調達部門とサステナビリティ推進本部、商社も交えて検討しているが、日本の制度がなかなか追いついてこない。オフサイトPPAも他社融通自己託送についての見解が経産省と環境省から出て(2021年11月*)、再エネ設備導入の外にしかならないということでした。自己託送の系統費用が8円/kWh前後。やはりコスト的に難しい」(日立サステナビリティ推進本部の久保勉氏)
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