DRCでは、グレンコアや中国の資源企業などが大規模操業に適した鉱区で銅・コバルト鉱の採掘を行い、紛争鉱物の不使用証明などを進める。一方、大規模な内戦が2003年に終結して以降も、最悪レベルの紛争地域を抱え、タンタルなどの鉱物資源が武力勢力の資金源になるなど、紛争鉱物の懸念のほか、児童労働、労働災害、環境汚染なども問題視されてきた。
DRCは通常の経済活動が難しく、失業率が高止まりする中、手掘り採掘を生業とする鉱山労働者も少なくない。手掘り採掘の鉱山労働者は大規模操業に適さない手掘り採掘の許可鉱区で採掘するほか、大手鉱山会社の鉱区で無許可のまま採掘し、製錬に適した品位に高める選鉱工程で廃棄された低品位の尾鉱を回収。川や湖などで鉱石を選別し、仲買人に販売するほか、零細な鉱山会社に雇われる例もある。
コンゴの首都キンシャサ
出典:Vberger, Public domain, via Wikimedia Commons
「紛争バロメーター2020」(2021年3月、ハイデルベルク国際紛争研究所など)によると、DRCの26行政区分ごとに「紛争地域・高リスク地域(CAHRAs)」などを評価した結果、北東部の北キヴ州やイトゥリ州の2地区は、争いの強さが5段階で最もひどい「紛争地域」にあたるという。カッパーベルトの上カタンガ州を含む東部5州のほか、首都・キンシャサ特別州など西部3州、中央部の東カサイ州の9地区は、5段階で3番目にひどい「暴力危機の地域」にあたる。
アメリカやEUなどの政府が法規制を強める中、アメリカやヨーロッパ、日本などの電子機器業界の主要企業が加盟するRBA(旧EICC)は、責任ある鉱物イニシアチブ(RMI)などの活動を活発化している。DRC政府や、グレンコア、中国企業などの大手資源会社・化成品メーカーともに紛争鉱物や児童労働などの排除をめざしている。
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