石炭火力支援停止に 深刻な電力不足 どうした中国 | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

石炭火力支援停止に 深刻な電力不足 どうした中国

2021年10月01日

深刻な電力不足はなぜ起こったのか

いま、中国といえば、恒大問題で経済的にはちょっとしたピンチを迎えたところだが、そこに泣きっ面に蜂的に生じたのが、電力不足だ。下手をすると中国経済は7-9月にマイナス成長するかもしれないともされる中、電力不足が襲うとさらなる輪をかけかねないだけに、ただ事ではない。

原因は何なのか。ロイター、ブルームバーグ、BBC、日経など様々な媒体が報道をしているが、原因分析については若干異なる。

ただ、共通しているのは、深刻な電力不足が中国で生じている、という点と、そこに石炭の論点が絡んでいるという点だ。

そう、ここで石炭火力が絡んでくる。

まずロイターによると、中国の電源構成は石炭火力の比率が圧倒的に大きいとして、この石炭火力への強依存が今回の元凶だと報道。石炭の価格上昇や供給減少で、電力不足になっていると報じている。BBCも同様に、石炭の供給不足による価格高騰を原因として上げている。

一方、ブルームバーグはというと、中国政府による電力消費の取り締まりの影響であると報じている。ただし、その取り締まりの背景は①電力需要の高騰、②石炭・天然ガス価格の高騰、③温暖化ガス排出抑制に向けた厳しい政府目標にあるとしており、ここでも石炭価格の高騰は出てきている。ちなみに、日経は③にフォーカスをして報道をしている。

これについては、実際に、中央政府がかなり強烈に脱炭素目標を設定しているのもまた事実だ。

ブルームバーグによれば、中国の23省のうちの半分近くは中央政府が求める厳しいエネルギー強度目標を達成できず、電力消費量の抑制を迫られており、特に状況が厳しいのは、製造業が盛んな江蘇、浙江、広東の3省である、と報じている。

そして、今回の電力不足によって、中国で操業をしている企業、例えば、テスラやアップルなども影響を受けており、日本勢も影響を受けていると報じられている。今後、日本のサプライチェーンにも大きく影響が出るかもしれない。

ただ、確かに電力消費について締め付けをしてきたとはいえ、本当に停電リスクを冒し、経済に悪影響を及ぼしてまで、締め付けを続けるのか? と普通の感覚なら思うはずだ。一時的に解除すればいいだけの話なのだから。

その普通の感覚が大事かと思う。経済合理性が出てくるまではいくら環境面で正論があろうと、各国が動かないというのは、気候変動交渉の歴史が証明しており、その真理が簡単に覆るわけがない。

特に、これまで中国は気候変動対策よりも経済成長を優先してきた国だ。その国が、環境対策のために経済成長を犠牲にする、ということ自体かなり違和感のある内容になる。

石炭火力の新規停止と電力不足、いずれも解説し、そしてその違和感もお伝えした。それでは次に、米中の文脈から、今回のこうした現象を引き起こすに足る事案は何なのか、分析していきたい。

2つの異変を引き起こすに足る事案とは何か・・・次ページへ

前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

エネルギーの最新記事