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日本企業309社の脱炭素の取り組み状況を徹底調査 見えてくる企業の本音と課題とは 日本総研・アビーム報道発表より(前編)

2022年02月08日

企業のGXマネジメント現状調査——2.対策について(スコープ1)

では、実際にGHGの排出削減を行う「対策」に当たってはどうなのか。こちらについても、「戦略」のGHG排出量の見える化と同様に、スコープ1~3に分けて調査が進められたが、それぞれの進捗には大きな差が見られる形となった。

Scope1削減対策の取り組み状況


出典:日本総研、アビームコンサルティング発表資料「エネルギー需要家企業におけるGX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けて」

スコープ1のアンケート結果で最も良い結果となったのは、GHG削減対策の代表格に当たる省エネ対策についてで、計画・実施済みと検討予定を合わせて81%となった。そこから「天然ガスへの燃料転換」「輸送における電化」「熱需要における電化」「脱炭素燃料・ガスへの燃料転換」が60%台で続き、最下位はCCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)の54%となった。このCCUSが最たる例であるように、スコープ1の削減対策が進まないジャンルに関しては、設備投資の負担の大きさが影響したり、対象企業の事業内容的に難しい場合があったりした印象だ。このことを明確に表したデータもある。

こちらは全社対象でないものの、省エネ以外の設問に対して、課題として認識している要素を確認したものとなる。その結果、イニシャルコスト(初期費用)負担やランニングコスト上昇を課題とする企業の多さが見えてきたのだ。

Scope1削減対策における課題


出典:日本総研、アビームコンサルティング発表資料「エネルギー需要家企業におけるGX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けて」

やはり、日々の意識づけや即時対応ができる省エネ以外に対しては、必要性をわかりながらも経済的負担やノウハウの不足によって、対策が遅れていることが伺える。

企業のGXマネジメント現状調査——2.対策について(スコープ2)

再エネ電力の調達方法


出典:日本総研、アビームコンサルティング発表資料「エネルギー需要家企業におけるGX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けて」

一方で、やはり進みが早かったのがスコープ2に当たる、再エネ電力調達の検討についてだった。意外に思えるかもしれないが、需要家企業にとって最も容易な調達スキームである小売りの電気メニューの活用よりも、オンサイト発電やオフサイト発電(自己託送、コーポレートPPA)、「クレジット調達」の方が高い比率となっている。

このことから、多くの企業が、自社での発電機能を備えることで、安定的かつ、今後需要が伸びた際の対応力を備えた電力調達の構造を描いていることが伺えた。

ハードルが高いスコープ3対策の実情は・・・次ページ

高橋洋行
高橋洋行

2021年10月よりEnergyShift編集部に所属。過去に中高年向け健康雑誌や教育業界誌の編纂に携わる。現在は、エネルギー業界の動向をつかむため、日々奮闘中。

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