米ニューヨーク州のホークル知事は9月8日、2035年までにニューヨーク州で販売されるすべての新車の乗用車およびトラックをゼロ・エミッションにするという目標を定めた法律に署名した。中型車および大型車は2045年までにゼロエミッション化されることが目標となる。
また、知事は環境保護局に対し、トラックによる大気汚染を大幅に削減する規制案の発表を指示した。この規制が採用されれば、トラックのゼロエミッション化が促進され、特に輸送関連の汚染の影響を受けやすい地域の大気質が改善される。
これらの規制はニューヨーク州の2050年までに温室効果ガスの排出量を85%削減するという目標を後押しするもの。また、ニューヨーク州の貧困コミュニティの大気汚染を解決する目的もある。
ホークル知事は「ニューヨーク州は、気候に影響を与える温室効果ガスの排出量を削減するために、全米で最も積極的な計画を実施していますが、この目標を達成するためには、州の気候汚染の最大の原因となっている運輸部門の排出量を削減しなければなりません。この新しい法律と規制は、重要なマイルストーンであり、クリーンな電気自動車(EV)への移行をさらに進めると同時に、何十年もの間、自動車やトラックによる汚染で過重な負担を強いられてきた地域社会の排出量を削減するのに役立ちます」とコメントしている。
ニューヨーク州の貧困層コミュニティの多くには、低所得の黒人、先住民、有色人種が多く住んでおり、居住地はトラックの通行量が多い工業施設や輸送ルートに隣接している。トラックによる大気汚染の削減規制案は、これらのコミュニティに影響を与える不均衡なリスク、健康や汚染の負担に対処するのに役立つという。
今回の署名と規制案で、ニューヨーク州は、港や車両基地での短距離輸送用トラックや、配送用トラックやバンの排出量をすべてゼロにする道を歩むことになる。
2021年4月、ニューヨーク州をはじめとする11の州は、バイデン大統領に対し、国内で販売されるすべての自動車がゼロエミッションになるよう要請した。この書簡では、2035年までにすべての新車の乗用車と小型トラックがゼロエミッションになり、2045年までに中型車と大型車がゼロエミッションになるような基準を設定することを連邦政府に求めている。また、電気自動車税の控除、充電への投資への資金提供、燃料供給インフラなどの改革を進めるよう促している。バイデン政権は現在のところ、ガソリン車は50%削減としている。
また、ニューヨーク州は、「Climate Leadership and Community Protection Act(気候リーダーシップ・地域保護法)」を制定し、2030年までに再生可能エネルギーを70%導入するなど、2040年までに電力部門の排出量をゼロにするという目標を持っている。
この計画では、ニューヨーク州内の91の大規模な再生可能エネルギープロジェクトに210億ドル以上を投じ、建物の排出量削減に68億ドル、太陽光発電の拡大に18億ドル、クリーンな交通手段に10億ドル以上、NYグリーンバンクに12億ドル以上を投じるなど、クリーンエネルギーの拡大に向けたニューヨーク州の前例のない投資に基づくもの。
これらの投資により、2019年にはニューヨークのクリーンエネルギー部門で15万人以上の雇用を支え、分散型太陽光発電部門は2011年から2,100%成長し、2035年までに9,000MWの洋上風力発電を開発するという。
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