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電気・ガス共にCO2実質ゼロのマンション、野村不動産と東京ガスの連携で建築

電気・ガス共にCO2実質ゼロのマンション、野村不動産と東京ガスの連携で建築

2021年11月11日

11月9日、野村不動産は東京ガスとの連携で、電気・ガス併用の新築分譲マンションでは国内初となる二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロのマンションを建築すると発表した。2025年3月に竣工予定の新築分譲マンション「(仮称)相模大野4丁目計画」において取り組む。

東京ガスは、CO2排出量実質ゼロの実現に際して、全687戸に、CO2排出量実質ゼロの「カーボンニュートラル都市ガス」を導入する。さらに、マンション内で各戸が使用する電気についても、実質再生可能エネルギー(再エネ)100%の電気料金プラン「さすてな電気」の供給を予定。共有部においては、当該物件が所在する相模原市内の卒FIT太陽光発電設備から電力を賄っていく。そのほか、集合住宅向けエネファームを含む高効率設備の採用や高断熱化等、住宅性能を高めることで省CO2化を図っていく。

カーボンニュートラル都市ガスは、天然ガスの採掘から燃焼までの過程で生じる温室効果ガスをCO2クレジットで相殺(カーボン・オフセット)し、CO2が発生していないとみなす液化天然ガス(LNG)を活用したもの。東京ガスが2019年に輸入を開始して、日本で初めて供給した。新築分譲マンションでは、今回が初採用となる。

また、さすてな電気では、東京ガスが非化石証書を購入し、その環境価値を付加した電気を提供する。電気料金は従来のものと変わらないとしている。

なお、当該物件では、2030年の電気自動車(EV)の普及を見据えて充電インフラも整備していく。屋内平置き駐車場約200台全区画に充電用コンセントを設置し、充電に利用する電力には再エネの使用を予定。さらに、 急速充電器付きの来客者用駐車場や、電気自動車のカーシェアリングも計画している。

東京ガスは、11月8日に、関東圏の集合住宅を対象にしたEVの充電サービス「EVrest」の開始を発表。集合住宅におけるEV利用者の利便性の低さを解決して、EV普及を促していく。東京ガスが該当する、家庭部門における2030年度までの温室効果ガス排出削減目標は約66%と、部門別で最も高い削減率が求められており、今後も脱炭素に向けて精力的に取り組んでいくとしている。

また、CO2の削減は生活環境においてだけではない。当該物件は、建設時におけるCO2排出量も35%削減することを野村不動産が公表している。具体的には、住宅棟をタワー形式にしたり、既存建物を再利用したりすることで、当初計画から施工段階でのCO2排出量を約35%削減した。さらに、実際に工事が始まった際には、工事中の仮設電力に再エネ等を利用すると予定しており、さらなる環境負荷軽減を目指していく。

野村不動産グループは、国際イニシアチブ「SBT(Science Based Targets)」の認定を取得しており、2030年までに2019年度比でCO2排出総量を35%削減する目標を掲げている。対象はスコープ1(直接排出)、スコープ2(間接排出)、スコープ3(サプライチェーンを含めた排出)全てに及ぶ。

同グループは、これまでも分譲マンション供給においてZEH-M(ゼッチ・マンション)の建築や、街区間のエネルギー融通によって省CO2化したスマートエネルギーシステム等、環境配慮型の商品を提供してきた。

11月9日には、11月中旬から販売する大規模住宅地「プラウドシーズン横浜三ツ境」と「プラウドシーズン南柏サウスアベニュー」において太陽光発電システム「エネカリ」の採用を決定。さらに横浜銀行、千葉銀行と提携して、エネカリを設置する住宅に対して、条件を優遇する「サステナブル住宅ローン」の取り扱い開始を発表した。

2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向け、「(仮称)向ヶ丘遊園集合住宅計画」など本件以降の大規模物件でも環境配慮への取り組みをより本格化していく姿勢だ。

 

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EnergyShift編集部
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