10月19日、経済産業省と総務省は「デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合」の第1回を開催した。これは菅内閣時代の成長戦略会議で議論され、6月に閣議決定されたグリーン成長戦略や経済産業省の半導体・デジタル産業政策にも盛り込まれたもので、デジタルインフラ産業の方向性を議論するもの。座長は村井純・慶応義塾大学教授。ほかに、産業界からは楽天、大和ハウスなどの有識者が参加した。
社会、産業のDX化、それによる電化と電力の脱炭素は将来の成長とは切りはなせない。5G等の通信網や半導体、データセンター等のデジタルインフラの情報共有や意見交換をおこなう。
19日の第1回会合ではデータ拠点となるデータセンターの将来像について取り上げられた。中でも地方分散、脱炭素化(エネルギー効率の向上)も議論された。
6月の成長戦略ではデータセンターは新設の動きがあるが、東京に集中している。関東は実に6割にのぼる。この関東集中を、データ保護や災害への対応として最大5ヶ所程度の中核拠点と最大10ヶ所程度の地方拠点をつくることを検討している。
また、データセンターの脱炭素の要件についても議論された。特に出力制限がおこなわれている九州エリアに消費電力の高いデータセンターを設置することを検討。
さらに、データセンターの非化石証書の活用やエネルギー効率向上についても取り上げられた。省エネ法に基づいたサーバの製造事業者に対してのエネルギー消費効率基準を定めているが、データセンター事業共通の省エネ目標を新たに定める等の議論が進んでいることを紹介した。
地方拠点の要件では災害対応の観点から東京から数百km離れていること、拠点の敷地面製を10ha以上確保することが案として示された。さらにエネルギー効率向上の観点からは再エネの活用ができること、省エネ基準を満たしたサーバであることが示された。
また同日、経済産業省は「次世代デジタルインフラの構築」プロジェクトの計画を策定・発表している。ここではNEDOの公募事業として次世代グリーンパワー半導体、次世代グリーンデータセンター合わせて1,410億円のプロジェクトをすすめる。資料ではデータセンターのエネルギー効率を40%引きあげるとしている。
有識者会合は今後、11月に第2回として事業者ヒアリングをおこない、12月に中間とりまとめをおこなう予定。
データセンター事業はDX化の進展で拡大しているが、ほとんどがGoogleやAWSに代表される超大規模のハイパースケールデータセンターだ。これらは自社でエネルギー効率のよい半導体の設計から冷却構造の設置までおこなっている。政府としては経済安全保障やデータガバナンスの観点からも国内事業者への支援を検討しているが、技術力、資金力ともに差があるというのが現状だ。
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