住宅も脱炭素 お得なのに、エコで災害に強いお家が登場 | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

住宅も脱炭素 お得なのに、エコで災害に強いお家が登場

2021年10月19日

脱炭素時代において、何が優れているのか

いま、政府は脱炭素目標を掲げて2030年までに温室効果ガスを46%削減するなどとしているが、エネルギー基本計画でも、再エネ導入量に空白の、まだ決まっていない部分があるなど、このままでは達成できない状況だ。

とはいえ、これまでやってきたような固定価格買取制度の金額を上げての導入は、国民負担を増やすだけだ。補助金も結局は、税金の投入になる。

そうなると、脱炭素実現には、民間資金の活用が欠かせないのだが、ようやく少し動きが見えてきたとはいえ、まだまだそのスピードは遅い。再エネ導入にしっかり踏み込んでいる企業はわずかであり、多くの企業は、いまある再エネ由来の証書などを調達しており、根本的に、そして社会的に脱炭素が進む形にはなっていない。その要因のひとつに、経済性がまだ効いていない点が挙げられる。

一方で、今回のこの商品のように、災害対策にも強いというメリットがあり、EVとの組み合わせ次第では十分に経済性も取れる。しかも太陽光は20年を超えても稼働できるため、長期でみればもっと採算が取れる格好となる。こうした「お得な家」が増え、そしてさらに価格競争力が増せば、人は勝手に、こういう商品を選択する。

そうなると、各家庭がエネルギー自給をしていく形になる。勝手に太陽光発電所が増えていき、しかも蓄電池も含めて増えていくという形になる。さらに車の電動化も進む。

この流れは、日本の脱炭素の取組みを推進する。家庭が持っているお金を使って脱炭素が進む、それが日本の脱炭素比率を向上させて、産業も恩恵を被るかもしれない。

住宅の脱炭素化は、非常に重要だ。家の屋根上に「ミニ発電所」をどんどん作り、地産地消比率をあげること、これが国益に資すると筆者は思っている。

とはいえ、今回の住宅は坪単価90万円台という値段になっている。ニチコン社と組んでいるとのことだが、まだまだニチコン製のパワコンや蓄電池は高止まりしている状況だ。こうしたところに規模の経済が効くか、ないしは、競合がコストを下げに行く、そうしたことが起き始めると、住宅の脱炭素は本格化するだろう。

いずれにしても、住宅の脱炭素に一石を投じたセキスイハイムは素晴らしいと思う。

今回はこの一言でまとめたい。
『いいじゃない セキスイハイム』

前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

エネルギーの最新記事