小泉進次郎環境大臣は6月1日、閣議後の記者会見で、国立公園内などで「地熱発電の開発は認めない」としていたこれまでの原則を見直し、開発を許可する要件を明確化することで、地熱発電の導入を加速させると述べた。今後、検討会で詳細を議論し、9月末までに詳細を決める方針だ。
環境省通知では、これまで自然保護の特別地域である国立公園や国定公園内では、「地熱発電の開発は原則、認めない」と規定していたが、この通知を見直す。
小泉環境相は、「開発を許可する要件を明確化していく。今までも地熱加速化と発言してきたが、原則地熱は禁止という、(通知を)やめていくことになる」と述べた。そのうえで「環境省自身が再エネを増やしていくために汗をかく」と発言した。
日本の地熱資源量は2,347万kWと世界第3位の導入ポテンシャルを持つ。しかし、地熱発電は開発から稼働までの期間が10年以上と長いうえ、その熱源は火山が近い国立公園などに約8割も集中する。現在までの導入量はわずか60万kWだ。
河野太郎行政改革担当大臣のもとで組織化された、再生可能エネルギーの規制などを見直すタスクフォース(再エネ等に関する規制等の総点検タスクフォース)は、自然保護の観点から地熱開発が進んでいないと指摘し、2030年度に温室効果ガス46%削減とした新たな目標達成に向けても、地熱開発を加速させるべきだと提言してきた。
こうした要望を受け、環境省では自然公園法や温泉法など関係法令の運用見直しなどで開発期間を最短8年に短縮することを目指す。
小泉環境相は「温泉資源の保護に関するガイドライン」も見直すと述べ、9月末までに詳細を決める方針だ。
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