特別授業は、EnergyShift 統括編集長の前田雄大が、環境問題チームを含むSDGs部の部員を対象に開催。
「再生可能エネルギーのコストが下がったことで、世界は本格的に脱炭素に舵を切った。そんな中、日本は遅れをとっている。再生可能エネルギーの需要と供給の波を作り、そしてその波に乗っていくのは、これからの未来を担う君たちだ」
と、前田は生徒たちに熱いメッセージを送った。
脱炭素の波を起こし、波に乗る重要性を熱く語る前田と、熱心に聞き入る生徒たち
授業の最後には、熱心に話に聞き入っていた生徒たちから、
「日本は地熱が豊富だと思うが、なぜ地熱発電の導入が進んでいないのか」、「日本の豊かな自然は、もっとグリーンエネルギーの産出に役立てられないのか」といった質問が飛び、前田はその疑問に丁寧に回答しながら、日本の再生可能エネルギー導入の課題や、今後、生徒たちが取り組むべき方向を示唆した。
別の日には、生徒たちの「脱炭素アクション」提案に向けたワークショップを実施し、SDGs部 環境問題チームの7名が参加。
はじめにしろくま電力のスタッフから、企業や店舗、教育機関などで取り組まれている具体的な脱炭素アクションの事例が紹介され、それを参考に、自分たちにはどんな課題があり、どう脱炭素アクションにつなげられそうかを生徒たちが検討した。
「学校で配られるたくさんのプリント類をもっと有効活用できないか」、「文化祭で使ったたくさんの段ボール。あれでなにかできないかな」、「残っている旧制服(青稜では2年前に制服のデザインをリニューアル)を活かす方法ってなんだろう」といった生徒達ならではの視点で、様々な課題や、それを改善・解決するアクションを積極的に検討する姿が見られた。
今回の一連の取り組みとしては唯一の「現場実習」である太陽光発電所見学では、広大なメガソーラー発電所に実際に足を運び、再生可能エネルギーが生み出される現場を体感した。斜面に沿ってうねるように建設された3D設計の太陽光パネルの列や、ドローンを使った管理の様子を前に、生徒たちは「思っていた以上に広くて近代的な景色に、これからの電力発電やエネルギーの未来が想像できた気がします」と話していた。
発電所の説明に、真剣に耳を傾けメモをとる生徒たち
当日は、実際のパネルを使った発電実験なども通して、目に見えない電力がどのように生み出され、運ばれていくのかを実感できたのではないだろうか。
ここまでで得られた情報や体験を元に、SDGs部 環境問題チームの生徒たちはたった数日で「青稜生が考える環境アクション~お母さん・お父さんに伝えたいこと~」を練り上げ、青稜中学校・高等学校の父母の会でのプレゼンに臨んだ。
生徒は自分たちができる「脱炭素アクション」を自ら考えて発表した
SDGs部の活動内容や目的などの自己紹介から始まったプレゼンで、生徒たちは脱炭素の実現を目的とした3つの「環境アクション」を提案した。
まず一つ目が「旧制服のアップサイクル」。2年前に制服のデザインをリニューアルした青稜中学校・高等学校では旧デザインの制服の在庫があり、これらをリメイクして販売し、売上を途上国支援などに活用するという案だ。
そして二つ目は「チョークのアップサイクル」。授業で板書をした際に落ちるチョークの粉や短く使いづらくなったチョークは今まで破棄するしかなかったが、生徒たちは調査の結果、チョークの粉を絵具に再生できることを知り、旧制服のアップサイクルと同様、再生チョークの絵具を販売したり、その絵具で描いた絵を販売したりして得られた売上を寄付するという取り組みを提案した。
最も会場を沸かせたのは三つ目の案である「しろくま授業料減額制度」だ。しろくま電力に切り替えることで電気の脱炭素を実現した青稜生の家庭には、授業料を1万円キャッシュバックし、同時にしろくま電力が青稜中学校・高等学校に2万円を支払うというプラン。青稜生とその家庭、青稜中学校・高等学校、しろくま電力(ぱわー)の三方良しなだけでなく環境にも良いという、いいことずくめの名案に、会場の保護者だけでなく青田校長からも感嘆の声が上がっていた。
お互いにメリットを感じられる三方良しの提案
提案を受けたしろくま電力の担当者からは「短期間でここまで精度の高い、かつ青稜生ならではの提案がいただけるとは本当にすばらしいことです。正直、想像以上で驚いています。3つ目の案をぜひ実現して皆さんの期待とがんばりに応えられるように、また、今を生きるすべての人が『自分ができるアクション』について考えるきっかけを広めていけるように私たちも頑張ります」とコメントがあった。
プレゼンをした生徒からは「特別授業の時に前田さんから、『脱炭素を促進する必要があるとわかっていても、なかなか前に進んでいないという現実がある。これを打破するためには、まずそこに明確なメリットをもたせることも重要だ』というお話があったので、なんとかアクションに経済的なメリットをもたせられないかと一生懸命考えました」という言葉が出てきた。
このプロジェクト一連の情報、経験が活かされ、凝縮された生徒たちのメッセージには、彼らの取り組みに対する真剣な姿勢と真摯な気持ちが詰まっているように思える。
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