CO2の排出量が少ないLNG(液化天然ガス)価格がアジア市場で高騰している。
LNGのアジア市場のスポット(随時契約)価格は9月10日時点で100万BTU(英国熱量単位)当たり20ドル強と、7月末から1ヶ月余りで3割上昇。今年は夏の需要期を過ぎても、なお価格上昇が続いている。同時期の過去5年平均と比べて約3倍の高値水準を記録している。
高騰する背景には、欧州市場での価格高騰があげられるが、中国の爆買いや新型コロナウイルスからの経済回復など複数の要因が重なっている。ロシアがパイプライン経由での欧州向け輸出を抑制していたこともあり、欧州ではLNG在庫がひっ迫し、中国、そして日本、韓国、欧米など、LNGの争奪戦が世界的に広がっている。
9月10日にロシア産LNGをバルト海経由でドイツに運ぶ油送管「ノルドストリーム2」が完成し、間一髪で世界のLNG需給ひっ迫は回避される見込みであったが、供給不安は払拭されず欧州市場で高騰が続き、アジアの相場を押し上げている。
こうした世界的なLNG価格の高騰は、一般家庭も直撃している。
また、天然ガスの需要は世界的に旺盛で、国際エネルギー機関(IEA)は2021年の世界需要が2020年比で3.6%伸びると予測している。暖房需要が伸びる冬場に向けて一段と高騰し、電力料金の押し上げ圧力が強まる可能性もあるという。
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