豪英の大手資源会社BHPグループは、11月8日、三井物産と手がける原料炭事業の権益を売却すると発表した。世界的に脱炭素の流れが加速する中、CO2排出量が特に多いとされる石炭資産を切り離し、電気自動車(EV)の材料に使われるニッケルなど、需要が増えると見込まれる資源への投資を強化する。
売却総額は最大で13億5,000万ドル(約1,500億円)と報じられており、2022年半ばまでに売却を完了する見通しだ。BHPが脱炭素に向けて事業選別に進む反面、三井物産は今後も権益保有を続ける方針だという。
今回BHPが売却する「BMC(BHP Mitsui Coal)」は、BHPが80%、三井物産が20%を出資した合弁会社。BMCは豪州に2つの鉱山を所有しており、年間約1,000万トンの石炭を生産している。原料炭は製鉄などに用いられている。
BMCの売却先はスタンモア・リソーシズとなる。
BHPの事業選別は速やかに行われており、8月には、石油・ガス事業を豪州の石油・ガス大手ウッドサイド・ペトロリアムに売却すると発表している。また6月には、発電に使う一般炭を生産する南米コロンビアのセレホン炭鉱の権益を、スイスの資源商社グレンコアに売却すると発表した。なお、BHPは三菱商事とも50%ずつの出資で原料炭事業の「BMA(BHP Billiton Mitsubishi Alliance)」を手がけるが、高品位炭として知られるBMAの権益は今後も保有すると報じられている。
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