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時代を変える日本発の技術 世界最高効率のフィルム状太陽電池

2021年09月27日

東芝が世界最高の変換効率を達成

今回、東芝が達成したのは、新たな成膜法を開発したことによって、フィルム型ペロブスカイト太陽電池としては、世界最高のエネルギー変換効率15.1%を実現したというものだ。

変換効率を高めなければならない、これが課題のひとつだと先述したが、この15.1%という数字は現在普及している多結晶シリコン型の太陽電池のエネルギー変換効率に相当する。つまり、商品として供給できるレベルになってきているということだ。

ただし、条件付きでの世界最高になっている。この表を見てほしい。

発表機関基板サイズ変換効率
東芝フィルム基板703 cm215.1%
Sollianceフィルム基板160 cm210.1%
Saule Technologiesフィルム基板15.7 cm210.5%
パナソニックガラス基板804 cm217.9%
UtomoLightガラス基板64 cm220.1%

出典:東芝

変換効率が一番高いのは、東芝ではなく、Utomolightの20.1%であり、同様にパナソニックも17.9%をたたき出している。

ペロブスカイトがこれからどんどん使われるためには、フィルム状であるという特性、これが軽さや形状変化という意味において重要になってくる、そこにうまみがある。一方、先ほどの2社はガラス基板であり、こうした特性は発揮できない。

つまり、フィルム状という特性で、なおかつ、変換効率が高い、というこの2点が重要なわけで、そのフィールドで、東芝は世界最高の変換効率を叩き出したということになる。その点では他の競合をぶっちぎっていることがお分かりいただけるだろう。

また、いまの表を見て、もう一つお気づきになったかと思う。そう、大きさも重要となるということを。実用化するには大きくしなければならない。

この点に関しても、他のフィルム状のものに比べて東芝のものは大きさも実現していることがお分かりいただけるだろう。東芝は、2018年6月にペロブスカイト太陽電池として703cm2の世界最大サイズのモジュールを開発しているが、今回は、この世界最大サイズを維持しながら、成膜プロセスの高速化と変換効率の向上に成功したというもの。フィルム状で、かつ世界最大規模の大きさのモジュールで、世界最高変換効率。

非常に熱い!

さらに何が革新的なのか、その点を次に解説したい。

東芝はどんなブレークスルーを起こしたのか・・・次ページへ

前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

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