今回、東芝が達成したのは、新たな成膜法を開発したことによって、フィルム型ペロブスカイト太陽電池としては、世界最高のエネルギー変換効率15.1%を実現したというものだ。
変換効率を高めなければならない、これが課題のひとつだと先述したが、この15.1%という数字は現在普及している多結晶シリコン型の太陽電池のエネルギー変換効率に相当する。つまり、商品として供給できるレベルになってきているということだ。
ただし、条件付きでの世界最高になっている。この表を見てほしい。
発表機関 | 基板 | サイズ | 変換効率 |
東芝 | フィルム基板 | 703 cm2 | 15.1% |
Solliance | フィルム基板 | 160 cm2 | 10.1% |
Saule Technologies | フィルム基板 | 15.7 cm2 | 10.5% |
パナソニック | ガラス基板 | 804 cm2 | 17.9% |
UtomoLight | ガラス基板 | 64 cm2 | 20.1% |
出典:東芝
変換効率が一番高いのは、東芝ではなく、Utomolightの20.1%であり、同様にパナソニックも17.9%をたたき出している。
ペロブスカイトがこれからどんどん使われるためには、フィルム状であるという特性、これが軽さや形状変化という意味において重要になってくる、そこにうまみがある。一方、先ほどの2社はガラス基板であり、こうした特性は発揮できない。
つまり、フィルム状という特性で、なおかつ、変換効率が高い、というこの2点が重要なわけで、そのフィールドで、東芝は世界最高の変換効率を叩き出したということになる。その点では他の競合をぶっちぎっていることがお分かりいただけるだろう。
また、いまの表を見て、もう一つお気づきになったかと思う。そう、大きさも重要となるということを。実用化するには大きくしなければならない。
この点に関しても、他のフィルム状のものに比べて東芝のものは大きさも実現していることがお分かりいただけるだろう。東芝は、2018年6月にペロブスカイト太陽電池として703cm2の世界最大サイズのモジュールを開発しているが、今回は、この世界最大サイズを維持しながら、成膜プロセスの高速化と変換効率の向上に成功したというもの。フィルム状で、かつ世界最大規模の大きさのモジュールで、世界最高変換効率。
非常に熱い!
さらに何が革新的なのか、その点を次に解説したい。
東芝はどんなブレークスルーを起こしたのか・・・次ページへ
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