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日本も電力危機の恐れあり この冬を果たして乗り切れるのか?

2021年12月03日

大手10電力中4社で燃料制約が発生しているという事態の異常性

まず、大手10電力中4社で燃料制約が発生している、という事態の解説から始めよう。

先ほども述べたように、電力事情が悪化している大手4社とは、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力の4社だ。各社ともその原因は、相次ぐ石炭火力発電設備の故障と気温上昇による需要増といわれているが、石炭火力の故障と聞いて思い浮かぶものはないだろうか。そう、冒頭でも述べた中国の電力危機だ。

中国と同様に、発電資源における石炭の比率が高い日本において、石炭に有事が起こると、このようなリスクが生じる。この流れも、非常に中国と似た状況になっている。とはいえ、中国が石炭の価格高騰など、外部要因による部分が大きかったのに対して、今回の日本のケースは内部要因によるものというのが、大きな違いだ。

では、その内部要因とはどういったものだったのか。北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力の4電力においては、いずれも複数の石炭火力発電所で故障が発生したうえ、10月の気温が高くて冷房使用の増加が重なっていた。その結果、LNGの消費量が増加し、在庫切れに陥る可能性が生じたため、11月4日から10日にかけてLNG火力や石油火力の出力を大幅に落としたという流れになっている。

燃料制約は、中国電力で11月30日までにLNG235.5万kW、石油125万kW、九州電力は11月26日までにLNG262.5万kW、北陸電力は11月22日までにLNG42.4万kW、四国電力は12月20日までにLNG64.6万kW、石油68万kW(11月30日まで)となる見通し。四国電力の燃料制約は12月以降も続く見通しだ。


出典:meti

これらの状況に対して、各社とも、手をこまねいているわけではない。LNGの調達について、中国電力は売主と供給数量の積み増しや配船日の前倒しなどについて協議を行い、九州電力は12月上旬に追加の船1隻を手配済みだという。

しかし、北陸電力と四国電力は調達が難航している。北陸電力はLNGタンクが1基しかないうえに、発電所のある港には橋がかかっているため、入港可能な船が限定されて追加調達が困難だという。同様にタンクを1基しか持たない四国電力も、追加調達は難しい状況だ。

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前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

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