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米NextEra Energy、エクソンモービルの時価総額を一時超えた電力サービス戦略とは

米NextEra Energy、エクソンモービルの時価総額を一時超えた電力サービス戦略とは

2021/03/10

これまで、英国の"イケてる" 電力会社について紹介してきた。今回からは引き続き、米国の電力会社を紹介したい。最初にとりあげるNextEra Energyは、2020年10月にエクソンモービルの時価総額を抜いたことでも話題をさらった、多くの電力会社を抱える持株会社だ。その傘下の電力会社はどのようなサービスを展開しているのか?どこよりも詳しく紹介する。

"イケてる" 米国の電力会社(1)

再エネ開発に早くから注力し頭角を現す

NextEra Energy(NEE)は、1925年設立のフロリダの電力会社Florida Power & Light Company(FPL)をルーツとする持株会社だ。もともとはFPL Groupという名称だったが、2010年にNextEra Energyにグループ名を変更した(現在、FPLはNextEra Energyグループに入り、フロリダで電力小売を行っている)。

NEEは1990年代から再生可能エネルギー開発をリードしてきた。1997年に設立されたNextEra Energy Resources(NEER:旧FPL Energy)を通じて、テキサスやアイオワ、カリフォルニアなど多くの州で再エネ発電所を建設、買収してきた。2003年にはすでに、米国内で17の風力発電所を保有しており、2006年には世界最大の再エネ所有者兼運用者へ成長を遂げた。

FPLからNextEra Energyへの歴史を紹介する動画

エネルギーサービスを拡大し、時価総額でエクソンモービルを一時超える

同社は近年、さらにエネルギーサービスの幅を広げている。

2018年、フロリダで11万戸にガスを供給するFlorida City Gasを買収。グループのNextEra Energy Transmissionは、サンフランシスコの送電事業者Trans Bay Cableをも手に入れた(Trans Bay Cableは、サンフランシスコの電力供給システムの約4割を所有している)。

グループ名をNextEra Energyに変更した2010年、NextEra Energy Resources(NEER)が米国初のVERによるカーボンオフセットクレジットの取扱いを始めた。VERとは「Verified Emission Reduction(第三者認証排出削減量)」の略で、京都議定書などの法的拘束力に基づかないクレジットのことだ。

また、米国全土で太陽光発電や風力発電、蓄電といった分散型電源だけでなく天然ガスの掘削や原子力発電、パイプラインなども手掛けている。昨年(2020年)10月初旬、NEEは時価総額でエクソンモービルを抜いた。その1週間後にはエクソンモービルが巻き返しをみせたものの、米国の電力大手の中ではNEEの時価総額はいまだにトップであり続けている。

NEE傘下、テキサスのGexa Energyのサービス

NÉE 傘下の電力会社の1つとして、テキサスで事業展開するGexa Energyについて紹介する。2002年から電力小売事業に参入し、家庭向けと法人向けのサービスを展開している。再エネ100%に加え、ライフスタイルに応じた豊富なラインナップが魅力だ。

筆者は今回も実際に見積を取得してみた。場所により送配電線の使用料などが異なるので、料金もわずかに変わるが、ここではヒューストンの住所を使用してみた。全プラン再エネ100%だ。以下、順番に紹介していく。

(この冬の寒波によってテキサスでは電力価格が高騰し、計画停電も実施された。これを受けて、料金は値上げされている模様であることをお断りしておく)。

Gena Energyの料金メニュー

Every Day Every Night 12

この料金メニューにおける電気料金の構成は、「従量単価」+「送配電線使用料」で構成されており、このうち「送配電線使用料」はおよそ4ドルの基本料金とおよそ4セント/kWhの従量料金で構成されている。このうち「従量料金」が12ヶ月固定されるプランだ。基本料金の関係で、電力量によってkWhあたりの単価が変動するが、ひと月の使用電力量が500kWhだと11.4セント/kWh、1,000kWhだと11.0セント/kWh、2,000kWhだと10.8セント/kWhとなる。すべての料金メニューには期間満了前の解約には150ドルの違約金が発生する。

この他に、Every Day Every Night 24というプランもあり、少し割安となっている。

Simply Low 12

使うほど安くなる料金プランだ。ひと月の使用電力量が1,000kWh未満だと割高となり、500kWhの場合で14.8セント/kWhとなる。しかし、1,000kWhを超えると、4.5セント/kWhとなり、これに毎月固定価格の100ドルが追加される。このしくみによって、実質的な価格は1,000kWhだと14.5セント/kWh、同じく2,000kWhだと9.5セント/kWhとなる。2,000kWhを超えると、9.3セント/kWhになる。

Gexa Energy Saver Plan

日本の電気料金メニューは、どの会社も省エネのインセンティブがはたらかないものばかりだ。一方、米国の電気料金メニューには省エネを促進させるものも多い。この料金メニューはその一例でもある。

一戸建ての住宅所有者に限定のプランで、24ヶ月または36ヶ月の価格保証付き契約となる。最大で2つのスマートサーモスタット(最大550ドル相当)を無料で設置できることが特長。このスマートサーモスタットはエマソン社製で、Amazon AlexaおよびGoogleアシスタントによる音声制御が可能だ。AIによって自動的に快適な空調に調節してくれるだけではなく、アプリを使うことで、スマートフォンによる調節もできる。このしくみで、最大23%の省エネが可能になる

また、加入特典として100ドルのVisaリワードカードがついてくる。毎月、9.95ドルのサービス料金が含まれるが、1,000kWhのときの単価は11.0セント/kWhとEvery Day Every Night 12と同じレベルに設定されている。しかし500kWhの場合は割高だ。使用電力量が多い世帯の省エネを促進させるということだろう。

Gexa Premium 12

ひと月の使用電力量が2,000kWh以上の世帯が割安になるよう料金設定されている。ひと月の使用電力量が1,000kWhだと13.7セント/kWhと割高だが、2,000kWhだと8.9セント/kWhとなる。

また、これらのほかにもGexa Free 3-Day Weekends Planという、毎週金曜日の午前12時から月曜日の午前12時まで、3日間無料で電気を利用できるプランや、Free Mornings & Nights 12という夜の8時から朝の8時まで無料という驚きのプランもある。

もちろん、有料となる時間帯はかなり割高な料金(Weekendでおよそ13セント/kWh、Morning & Nightでおよそ14セント/kWh)で、ある意味では究極の時間帯別料金メニューだ。

グループの電力会社でもサービスはさまざま

同じNEE傘下でも、電力会社によってサービスは異なる。

例としてNextEra Energy Servicesも紹介しておきたい。同社は、デラウェア、メリーランド、ニューハンプシャー、ニュージャージー、ペンシルベニア、およびコロンビア特別区で家庭向けの再エネ100%電力を販売している。

筆者はコロンビア特別区における見積を実際に取得した。プランは12ヶ月単価が固定される「NextEra Eco Power 12」と6ヶ月固定単価の「NextEra Eco Power 6」の2つだ。料金は州によって若干異なるが、12ヶ月固定と6ヶ月固定の2プラン展開は共通だった。

電力料金は従量料金の一本で、いずれも日本の低圧託送料金くらいの水準だ。ひと月の使用電力量が500kWhだとすると「NextEra Eco Power 12」で37ドル(約3,948円)、「NextEra Eco Power 6」で32.95ドル(約3,516円)と非常に安い。基本料金などはないが、契約期間満了前に解約すると10ドルの違約金が発生する。

破竹の勢い止まらぬNextEra Energy

さて、持株会社であるNEEはフォーチュンの「世界で最も称賛される企業」の電力・ユーティリティ部門で15年ぶりに14回目の第1位を獲得した。アメリカにおけるクリーンエネルギーへの投資は、2020年の1年間だけで14億ドル以上にのぼる。その勢いは、今後も注目に値する。

 
*EnergyShiftによる「英国の電力会社」関連記事はこちら
山下幸恵
山下幸恵

九州大学文学部卒。九州電力グループ会社にて大型変圧器・住宅電化機器の販売に従事。新電力ベンチャーにおいて、ディマンドリスポンスやエネルギーソリューションの提案を行う。自治体および大手商社と地域新電力の立ち上げを主管。福岡市にて、気候変動や地球温暖化、省エネについての市民向けセミナーを実施。2019年よりエネルギーライターとして活躍中。

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