蓄電池の革新、やってくれたのはソフトバンク。仕掛ける3つのイノベーションとは | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

蓄電池の革新、やってくれたのはソフトバンク。仕掛ける3つのイノベーションとは

2021年11月09日

リチウムイオン電池の約2倍、質量エネルギーの限界を大幅に突破

ソフトバンクは質量エネルギー密度520Wh/kgセルのリチウム金属電池の試作と実証にも成功した。

そうは言っても、その凄さはなかなか実感できないと思うが、例えば、現行のリチウムイオン電池の重量エネルギー密度はセルで最大約270Wh/kg、そして理論限界が280Wh/kgとされている。それに対して、520Wh/kgという数字は、いかに密度が優れているのか、おわかりいただけると思う。

さらにソフトバンクは当然寿命も追求。100サイクル以上の寿命も達成できているのだが、実は、質量エネルギー密度520Wh/kgとサイクル寿命100サイクル以上を同時達成したという点で、この電池は、世界初の電池となる。


出典:ソフトバンク

ちなみに、技術的な話をすると、今回、ソフトバンクはリチウム金属の界面制御技術と電解液技術を駆使。電池の設計上、非活物質の使用比率を低減しつつも二次電池としての充放電安定性を維持しながら、質量エネルギー密度の限界を大幅に突破している。

その進捗度合いは著しく、気になるのが特許の部分だ。当然ここも抜かりない。これらの共同研究で得られた各技術については、ソフトバンクおよび各共同研究先によって特許出願済みとなっている。

ソフトバンクは、これらの共同研究で得られた各種セルについて、「ソフトバンク次世代電池Lab.」を活用しながら、継続的にセルの大型化や容量・サイクル数の向上などに取り組み、次世代電池の実用化を目指していくという。

やはり、時代がわかっている企業の取り組みはいい。今回の発表は個人的にも痺れたところが多かった。

そこで、今回はこの一言でまとめたいと思う。
『痺れるぜ ソフトバンク!』

前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

エネルギーの最新記事