2020年度第3次補正予算が成立 エネルギー関連まとめ 経済産業省は2兆円基金創設で2050年カーボンニュートラル実現目指す | EnergyShift

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2020年度第3次補正予算が成立 エネルギー関連まとめ 経済産業省は2兆円基金創設で2050年カーボンニュートラル実現目指す

2020年度第3次補正予算が成立 エネルギー関連まとめ 経済産業省は2兆円基金創設で2050年カーボンニュートラル実現目指す

2021年01月28日

2021年1月28日、総額15兆4,271億円にのぼる2020年度第3次補正予算案が成立した。このうち経済産業省の補正予算額は約4.7兆円となり、2050年カーボンニュートラル実現に向け、2兆円基金の創設などが盛り込まれた。経済産業省の第3次補正予算のうち、主要なエネルギー関連予算をまとめた。

世界のESG資金3,000兆円を国内循環させる

経済産業省の第3次補正予算には、脱炭素など新たな日常の先取りによる成長戦略を目指した事業が盛り込まれている。その中でもグリーン社会の実現に向けた施策を紹介していく。

まず、カーボンニュートラル実現に向けた革新的な技術開発に対する継続的な支援を行う、グリーンイノベーション基金事業に2兆円を計上した。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)に基金を設け、具体的な目標年限とターゲットへのコミットメントを示す民間企業などに対し、今後10年間にわたり継続支援することで、革新的技術の早期確立・社会実装を図っていく。

重点分野は次の3つだ。

  • 電化と電力のグリーン化(次世代蓄電池技術等)
  • 水素社会の実現(熱・電力分野等を脱炭素化するための水素大量供給・利用技術等)
  • CO2固定・再利用(CO2を素材の原料や燃料等として活かすカーボンリサイクルなど)

さらに政府資金を呼び水として、民間企業の研究開発・設備投資を誘発し、世界で3,000兆円規模とされるESG資金を国内事業に呼び込み、経済と環境の好循環の実現を目指すという。

EV・FCV導入支援に37億円、洋上風力には約28億円を計上

「災害時にも活用可能なクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」や「洋上風力発電の地域一体的開発に向けた調査研究事業」なども盛り込まれている。

電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)などの普及拡大に向け、現行では40万円の補助が実施されている。第3次補正では、さらなる導入を目指し、例えばEVと充放電設備をセット購入する場合は60万円、さらに再エネ100%電力まで加えた場合は80万円まで引き上げる。予算額は37億円を計上した。

補助額の引き上げなどを通じ、2030年までに新車販売に占める次世代自動車の割合を5〜7割まで増やしたい考えだ。

また、日本においても洋上風力発電の導入拡大が急務となっている。

「洋上風力発電の地域一体的開発に向けた調査研究事業」では、未開発海域において、① ポテンシャルの算定に必要な風況等の概況調査、② 環境影響評価等に必要な調査などを実施。これら調査結果を幅広く公表することによって、洋上風力の導入を後押しする。

予算額は27.5億円である。

第3次補正における脱炭素予算額は、2兆円+約170億円

そのほかの予算は以下の通りである。

  • 産業・業務部門における高効率ヒートポンプ導入促進事業(予算額46.5億円)
  • 先端低炭素設備導入促進補償制度推進事業(予算額37.6億円)
  • カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発事業(予算額15億円)
  • LNGバリューチェーンの脱炭素化等に向けたインド太平洋イニシアティブ形成事業(予算額5億円)

第3次補正予算では、グリーン社会の実現に向けて、2兆円の基金とともに、合計約170億円の施策を講じていく。これら脱炭素事業を通じて経済成長を目指す考えだ。

参照
経済産業省関係令和2年度第3次補正予算案のポイント 【合計:約4.7兆円】
経済産業省 令和2年度第3次補正予算案の事業概要 (PR資料)

(Text:藤村朋弘)

藤村朋弘
藤村朋弘

2009年より太陽光発電の取材活動に携わり、 その後、日本の電力システム改革や再生可能エネルギー全般まで、取材活動をひろげている。

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