ソニーのセンシング技術とエンタテインメント要素がもたらす、EVのパラダイムシフト(1) ソニー 川西泉 執行役員インタビュー | EnergyShift

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ソニーのセンシング技術とエンタテインメント要素がもたらす、EVのパラダイムシフト ソニー 川西泉 執行役員インタビュー(1)

ソニーのセンシング技術とエンタテインメント要素がもたらす、EVのパラダイムシフト(1) ソニー 川西泉 執行役員インタビュー

2021年02月04日

2020年、ソニーがEV(電気自動車)の開発に取り組んでいるというニュースに、多くの人が驚いた。ソニーがなぜEVなのか。そこには、ソニーだからこそ提供できる、モビリティの新たな価値がある。開発担当の川西泉執行役員に、開発の背景や今後の展開について、お話しをおうかがいした。

(2)はこちら

自動車業界は100年に一度の変革期

― ソニーがなぜ、EV(電気自動車)の開発に取り組んだのか、その点からお願いします。

川西泉氏:現在、自動車業界は100年に一度の変革期を迎えているのだと思います。EVが世の中の重要なテーマとなってきました。そして、自動車が電化していく時代において、これまで以上に安全・安心が自動車のより大きなテーマになっています。

そうであれば、ソニーがこれまで開発してきた、イメージセンサーを含むさまざまなセンシング技術は、自動車の進化に役に立つものになるでしょう。こうしたことから、EVに対する取り組みを開始したということです。

― センシング技術の実証であれば、既存のEVを利用してもよかったのではないでしょうか。あえて、自社のEVを試作したのはなぜですか。

川西氏:センサーをどのように搭載するのか、またそのことによってEVの挙動や制御などトータルな検証を行っていくためには、自分たちで制御できるEVがあった方がいいと考えたからです。

― 課題などは見えてきているのでしょうか。

川西氏:まだ製作したばかりで、本格的な試験はこれからです。

― 2021年のCES(米国で開催される、世界最大の電子機器の展示会)では、高い関心を集めたと聞いています。

川西氏:公道で走行試験をしたビデオを上映したのですが、まさにこのことそのものが評価されたのではないかと思います。とはいえ、実際に走ったのは、2020年12月で、場所はヨーロッパですし、日本での公道試験はまだこれからです。

ヨーロッパの公道走行試験

自動運転だからこそ、乗っている時間の楽しさがこれからのテーマ

― 日本での公道試験は楽しみです。ところで、ソニーのEVということであれば、走るということだけではなく、EVに乗ることのエンタテインメント性など、これまでの自動車業界が考えてこなかった価値を提供してくれるのではないか、という期待があります。

川西氏:安全・安心を大前提とした上で、例えば居住性や快適性も考えていきたいと考えています。また、オーディオビジュアルをはじめとする、ソニーのコンテンツも提供していきたい。


フロントパネルで映画も見れる

― そうなってくると、EVとしてのハードウェアは重要ですが、同時にアプリケーションなどソフトウェアの役割も重要なものとなってくるのではないでしょうか。

川西氏:自動車にITの考え方を導入していくことになるでしょう。アプリケーションについて、どんどん新しいものにアップデートできるのであれば、買ってからも進化していきます。

(2)へ続く ソニーの考える新しいクルマの価値観とは

(Interview & Text:本橋恵一、Photo:関野竜吉)

川西泉
川西泉

1986年、ソニー 入社。FeliCa事業部長、プラットフォームアーキテクチャ開発部門長、システムソリューション事業部 事業部長を経て2014年、ソニー 業務執行役員SVP。2015年、ソニーモバイルコミュニケーションズ 取締役、2015年、ソニー グループ役員。2018年、ソニー 執行役員 AIロボティクスビジネス担当。

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