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ENEOSの必死の脱炭素転換 再エネ企業買収は吉と出るのか?

2021年10月11日

JREとはどういう会社なのか

JREの設立は2012年とまだかなり新しい会社であり、再エネに特化して事業を展開している。

太陽光、風力、バイオマスの開発から、再エネ発電所の保守メンテナンスも事業展開している。現在、日本や台湾で計60の太陽光や風力、バイオマスの発電所を手掛けており、HPによれば、開発中の発電所を含めた設備容量は約88万kWとなっている。ただ、設備容量とだけしか書いておらず、再エネ企業あるあるなのだが、その数字が全て保有している発電所なのかどうかが分からない。参考値としての設備容量と捉えておくほうがいいだろう。ちなみに、この設備容量は原子力発電所1基分に相当する。

実態としては、出資者がゴールドマン・サックスとシンガポールのGICであるため、外資から資金を調達しながら、そのお金で発電所を建てていった、というところだろう。これだけの発電所を手掛けるとなると、かなりの資金が必要となり、発電所自体は資金回収を10年程度で考えるため、2012年創業ということは、まだその途上にいる状況だ。

そのあたりは、売上、利益のところにも出てきている。2020年12月期の連結売上高は224億円、純利益は9億1,200万円の赤字であった。

この数字に照らすと、ENEOSの事業規模からすると現時点の売上、利益を考えた場合には微々たる貢献であり、さらに、2,000億円を出してまで買う企業か? と疑問に思った読者もいるのではないか。

そこで次に、ENEOSがJREを買収する狙いはズバリ、どこなのか。その後の戦略も踏まえて解説したい。

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前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

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