脱炭素の流れは世界的に強まっており、車のセクターも電動車へシフトしていっている。車メーカーはEV競争にひた走り、あのトヨタですら、カーボンニュートラルと言い出した。これは非常に大きな変化であり、潮流なわけだ。
この潮流に飲まれているわけだが、そうなると石油需要は今後縮小する見通しになる。
実際、ENEOSは2020年5月の第二次中期経営計画で次のような発表をしている。
出典:ENEOSホールディングス
出典:ENEOSホールディングス
まず、キャッシュを創出する。そして、そのキャッシュを成長産業への戦略投資に使う。その使い先はというと、再エネ・水素となっているわけだ。
キャッシュの創出には資産売却が入っており、そして、金の注入先には再エネ・水素が入っている。こうして転換を図りたい。
だが、もうすでに世の中は脱炭素が進んでしまっており、出遅れ感が正直ある。
となれば、そう、どこかを買収するしかない。
買収するとしたら、狙い目はなんだろう。水素につながる論点はなんだろう。政府が力をこれから入れるドル箱はどれだろう。そこで気付くわけだ。
「洋上風力じゃないか?」
政府は洋上風力を「再エネの主力電源化の切り札」と位置づけていることは、これまでも解説してきたが、2040年に発電出力を4,500万kWまで増やすという大きな目標を掲げている。
国は促進区域などを設定し、これから公募で事業者を決めていくわけだが、JREは、長崎県や秋田県、北海道などで洋上風力の開発を進めている。
完成後のJREの洋上風力の出力は100万kWを超える計画を立てている。
もちろん、あくまで計画であり、公募であるため全部が全部取れるわけじゃない。ただ、バックにはゴールドマン・サックスがついているので、その資金力を背景に開発に取り組んできた。
そうした中、JREに対しては国内外から買収の打診があり、複数の企業が買収交渉にあたったものの、ゴールドマン・サックスが金額や買収後の相乗効果などをみてENEOSへの売却を決めたもようである、という報道が出ている。
ゴールドマン・サックスとしては、うまく捌いたわけだ。エネルギー転換を狙っている、ENEOSのような弱みを持つところに、高値で売りたかったはずだからだ。結果として、ゴールドマン・サックスはぼろ儲けをした格好であり、そこだけ切り取ると、ENEOSは足元を見られた商売に屈したと評価もされるだろう。
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