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ENEOSの必死の脱炭素転換 再エネ企業買収は吉と出るのか?

2021年10月11日

ENEOSは投資対象としてどうなのか

これが直近10年間の株価チャートだ。


出典:Google

2018年9月をピークに、それ以降、下落が止まらずいまに至っている。新型コロナウイルスの影響もあり、世界的な脱炭素の流れもあり、400円から550円を行ったり来たりしている銘柄だ。石油の元売りであるため、超成長もなければ、一方で、脱炭素が来なければ会社としては安泰というところもあっての株価といえる。

いまは500円を打ってからだんだんと下がってきているフェーズにある。400円くらいで底を打つのを待つのも、一つの手段かもしれない。

今回のJRE買収の報道を受けて、株価が上がるかと思いきや、10月8日、日経平均が戻したにもかかわらず、ENEOS株は-1.9円と微減であった。なお、10月11日の終値は+9円の457円だった。

2,000億円を高すぎると見たか、JREを買っただけではポートフォリオは変わらないと見たか。はたまた、JREが仕込んでいる洋上風力は、まだゴールデンチケットではなく、あくまで仕込み中であるという点を不確定要因として見たか。

ただ、今回の秋田の八峰能代沖は元々ENEOSも出資しており、東北電力とJREも参画するという格好である。ここをうまく取れたとしたら、ドル箱確実なわけだが、単発なら20年で1,500億円の収益だ。ENEOSの単年度の連結利益は直近で2,500億円であるから、収益への寄与は軽微であって、むしろ脱炭素によるマイナス影響の方が大きいと見たのかもしれない。

ただ、筆者としては、なりふり構わないENEOSの姿勢は、面白いのではないかと評価している。もちろん、今回の買い物の一番の勝者はゴールドマン・サックスだ。ただ、ENEOSはいずれにしても転換をしないといけない。真綿で首が締められるなら、これまで石油元売りでキャッシュリッチな体質をしてきたこともあり、そのキャッシュを勝負手に使うのもありだろう。これが仮に成功の道を開き、オーステッドモデルを目指したビジネスモデルがはまり、2040年代に再エネ企業に転身しているのであれば、銘柄としては上がっているのではないだろうか。

他にもENEOSが様々な手を打ってくる可能性もあり、そうした動向も引き続き見ていきたい。

今回はこの一言でまとめたい。
『ENEOS 目指すは日本版オーステッドか』

前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

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