これが直近10年間の株価チャートだ。
出典:Google
2018年9月をピークに、それ以降、下落が止まらずいまに至っている。新型コロナウイルスの影響もあり、世界的な脱炭素の流れもあり、400円から550円を行ったり来たりしている銘柄だ。石油の元売りであるため、超成長もなければ、一方で、脱炭素が来なければ会社としては安泰というところもあっての株価といえる。
いまは500円を打ってからだんだんと下がってきているフェーズにある。400円くらいで底を打つのを待つのも、一つの手段かもしれない。
今回のJRE買収の報道を受けて、株価が上がるかと思いきや、10月8日、日経平均が戻したにもかかわらず、ENEOS株は-1.9円と微減であった。なお、10月11日の終値は+9円の457円だった。
2,000億円を高すぎると見たか、JREを買っただけではポートフォリオは変わらないと見たか。はたまた、JREが仕込んでいる洋上風力は、まだゴールデンチケットではなく、あくまで仕込み中であるという点を不確定要因として見たか。
ただ、今回の秋田の八峰能代沖は元々ENEOSも出資しており、東北電力とJREも参画するという格好である。ここをうまく取れたとしたら、ドル箱確実なわけだが、単発なら20年で1,500億円の収益だ。ENEOSの単年度の連結利益は直近で2,500億円であるから、収益への寄与は軽微であって、むしろ脱炭素によるマイナス影響の方が大きいと見たのかもしれない。
ただ、筆者としては、なりふり構わないENEOSの姿勢は、面白いのではないかと評価している。もちろん、今回の買い物の一番の勝者はゴールドマン・サックスだ。ただ、ENEOSはいずれにしても転換をしないといけない。真綿で首が締められるなら、これまで石油元売りでキャッシュリッチな体質をしてきたこともあり、そのキャッシュを勝負手に使うのもありだろう。これが仮に成功の道を開き、オーステッドモデルを目指したビジネスモデルがはまり、2040年代に再エネ企業に転身しているのであれば、銘柄としては上がっているのではないだろうか。
他にもENEOSが様々な手を打ってくる可能性もあり、そうした動向も引き続き見ていきたい。
今回はこの一言でまとめたい。
『ENEOS 目指すは日本版オーステッドか』
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