ヴィンヤード・ウィンド社がすすめている米国初の商業規模の洋上風力発電所が、連邦政府からの最終的な承認(Record of Decision)を受けた。
今回承認を受けたのは、「ヴィンヤード1」プロジェクト。マサチューセッツ州沖24kmの地点からケープコッド島まで海中送電線を敷設する。
タービンはGE社のHaliade-X。総数は62基で、総発電量は800MWを予定している。マサチューセッツ州の40万以上の家庭や企業に電力を提供し、年間160万トンのCO2排出を削減する。
このプロジェクトは2021年後半に資金調達を終了させ、2023年に電力供給を開始する予定。ヴィンヤード・ウィンド社によるとプロジェクト終了までに3,600人分の雇用が創出され、操業開始から20年間で14億ドルが節約されるという。
ヴィンヤード・ウィンド社のCEOであるLars T. Pedersen氏は、「今回の承認はひとつのプロジェクトの開始ではなく、新しい産業の立ち上げを意味する。この承認で雇用、経済、クリーンエネルギーの革命がようやく実現する」と述べた。
このプロジェクトは2017年に立ち上がり、徹底した公開審査プロセスを経て承認に至った。パブリックコメントは3万件にのぼったが、90%以上がプロジェクトを支持しているという。
その中には環境への影響も、環境団体、漁業団体等からの意見をとりいれて緩和策を重視しているという。たとえば、北大西洋セミクジラの保護。モニタリングを強化し、クジラが近くにいるときには建設をおこなわない、工事中のノイズを減衰させるなどに取り組む。また、漁師の収入の補償、漁獲能力の向上にも数百万ドルを投資するという。
同海域には他にも大型の洋上風力発電プロジェクトがすすんでいる。本サイトで既報のニューヨーク沖の洋上風力発電プロジェクト、「ビーコン・ウィンド」は、今回の「ヴィンヤード1」のすぐとなりの海域で準備が進む。ビーコン・ウィンドはノルウェーのエクイノール社がプロジェクトをすすめ、完成は未定だがニューヨーク州に電力を供給する。
米バイデン政権は、2030年までに30GWの洋上風力発電の稼働を目標としている。米国での洋上風力発電が加速している。
ヴィンヤード・ウィンド社はIBERDROLAグループのAvangrid Renewables社とCOPENHAGEN INFRASTRUCTURE PARTNERS社の合弁会社。
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