カーボンニュートラル、あの会社はこうしている(1) ダイキン工業株式会社の場合 前編 | EnergyShift

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カーボンニュートラル、あの会社はこうしている(1) ダイキン工業株式会社の場合 前編

2022年03月28日

自社工場の電力調達は、日本がネック

製造時のCO2排出量は108万トン、研究開発を入れると合計120万トンだが、工場拠点は世界中にある。国別の違いはあるのだろうか。

ヨーロッパはすでにグリーン電力(再生可能エネルギー)を多く使用している。アメリカも再エネの導入は比較的容易だという。市場が伸びている中国は、最近は国の政策規制が厳しくなっており、再エネの導入は進む見込みだ。生産能力が伸びるアジアは、その伸びに再エネが追いついていないようだ。インド、インドネシアのグリーン電力調達にはまだ石炭由来のものも多く、課題が残る。


ダイキントルコ社の太陽光発電システム
出典:ダイキン

日本も実は苦労しているという。グリーン電力を賄うためには、証書の購入よりも自社電源として、屋根上太陽光などの設置を先に進めているが、現在の計算では工場の使用電力に対して5%にとどまる。これは、屋根の強度などの問題によるが、最大限の積み上げをしても2割だという。オフサイトも検討しているというが、まずはオンサイト。可能な限り屋根上に設置し、次にオフサイト、その次が証書、という順番で検討中だ。証書よりもなるべく自社で電源開発を進めるという。

ただ、ここにきて、国内工場の現場の空気が変わってきたという。「国内的にはみんな(社員)がようやく本気になり出している。今までゼロ(脱炭素)なんて嘘だろう、できるはずがないという感じだったが、ここまで来るとやらずにはいられないということで、ようやく考え出してくれた。ここ1ー2年のことです。それまでもビジョンとしてはあったが、どこかでできっこないと思っていたのではないでしょうか。世界中が脱炭素の波の中で、他社もやりはじめていることもあり、最近かなり目の色が変わってきた」(藤本氏)

温室効果ガス排出量(開発・生産時)


出典:ダイキン

ダイキンの工場は、塗装や乾燥など、熱エネルギーの消費が多い。ダイキンの化学系の工場ではガスタービンを使い、コージェネも利用している。つまり、ガスをどうするか、が将来的な課題だ。その意味で、ガスのメタネーションにも期待しているという。

日本はなかなか電源調達の見通しが付かないが、ひとつひとつの積み上げで、5年、10年かかると想定している。まずは自社の再エネ電源を増やすフェーズだという。

 

(前編終わり 後編はフロンガス等の技術開発と、オープン戦略について)

小森岳史
小森岳史

EnergyShift編集部 気候変動、環境活動、サステナビリティ、科学技術等を担当。

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