製造時のCO2排出量は108万トン、研究開発を入れると合計120万トンだが、工場拠点は世界中にある。国別の違いはあるのだろうか。
ヨーロッパはすでにグリーン電力(再生可能エネルギー)を多く使用している。アメリカも再エネの導入は比較的容易だという。市場が伸びている中国は、最近は国の政策規制が厳しくなっており、再エネの導入は進む見込みだ。生産能力が伸びるアジアは、その伸びに再エネが追いついていないようだ。インド、インドネシアのグリーン電力調達にはまだ石炭由来のものも多く、課題が残る。
ダイキントルコ社の太陽光発電システム
出典:ダイキン
日本も実は苦労しているという。グリーン電力を賄うためには、証書の購入よりも自社電源として、屋根上太陽光などの設置を先に進めているが、現在の計算では工場の使用電力に対して5%にとどまる。これは、屋根の強度などの問題によるが、最大限の積み上げをしても2割だという。オフサイトも検討しているというが、まずはオンサイト。可能な限り屋根上に設置し、次にオフサイト、その次が証書、という順番で検討中だ。証書よりもなるべく自社で電源開発を進めるという。
ただ、ここにきて、国内工場の現場の空気が変わってきたという。「国内的にはみんな(社員)がようやく本気になり出している。今までゼロ(脱炭素)なんて嘘だろう、できるはずがないという感じだったが、ここまで来るとやらずにはいられないということで、ようやく考え出してくれた。ここ1ー2年のことです。それまでもビジョンとしてはあったが、どこかでできっこないと思っていたのではないでしょうか。世界中が脱炭素の波の中で、他社もやりはじめていることもあり、最近かなり目の色が変わってきた」(藤本氏)
温室効果ガス排出量(開発・生産時)
出典:ダイキン
ダイキンの工場は、塗装や乾燥など、熱エネルギーの消費が多い。ダイキンの化学系の工場ではガスタービンを使い、コージェネも利用している。つまり、ガスをどうするか、が将来的な課題だ。その意味で、ガスのメタネーションにも期待しているという。
日本はなかなか電源調達の見通しが付かないが、ひとつひとつの積み上げで、5年、10年かかると想定している。まずは自社の再エネ電源を増やすフェーズだという。
(前編終わり 後編はフロンガス等の技術開発と、オープン戦略について)
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