バッテリーの中身はどうなっている? その材料は?(コラム) | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

バッテリーの中身はどうなっている? その材料は?(コラム)

バッテリーの中身はどうなっている? その材料は?(コラム)

2021年07月01日

蓄電池に利用される、リチウムやコバルトなどの希少な金属資源が制約になると言われている。資源の確保やリサイクルが問題になっている。この記事では、EVバッテリーの構造とその材料・資源について紹介する。

鉛蓄電池からリチウムイオン電池へ

蓄電池は急速に進化しており、クリーンエネルギーシステムの主要部品の中で最も予測不可能な部品といわれている。

国際エネルギー機関(IEA)は、技術開発の方向性は中期的に見ても非常に投機的なものであるとしている。新しい使用例によって材料の構成が変わり、その結果、材料の調達や廃棄の方法も変わってくるからだ。

自動車用蓄電池は、デバイスの重要な材料のほとんどを含む蓄電池セルが、プラスチックやスチール製のフレームに包まれているのが一般的だ。

かつては鉛蓄電池が主流で、現在でもほとんどの自動車のエンジン始動用の小型バッテリーに採用されている。しかし、世界銀行によると、エネルギー密度が高く、ここ数年で急速にコストが下がったリチウムイオン電池が電気自動車市場を席巻しており、少なくとも今後10年間は、蓄電容量で圧倒的に大きなシェアを占めることになるといわれている。

6kgのリチウム、10kgのマンガン、11kgのコバルト、32kgのニッケル、100kgの黒鉛

欧州最大の自動車協会、ADACによると、2019年時点でドイツ国内を走行している電気自動車の平均的な蓄電池の重さは約400kg、容量は約50kWhとなっている。

この重さのほとんどは、自動車のバッテリーを事故から守るために必要な補強された筐体によるものだ。そのため、アルミニウム、スチール、プラスチックが、蓄電池の重量の大部分を占めている。

しかしその一方で、平均的な蓄電池には、6kgのリチウム、10kgのマンガン、11kgのコバルト、32kgのニッケル、100kgの黒鉛が含まれており、これらはリサイクルするにあたって最も重要な原材料だ。


VOLKSWAGEN GROUP COMPONENTSより バッテリーの構成


VOLKSWAGEN USA リサイクル手法についての動画

*このコラムの関連記事「グリーンリソース・リユース・リサイクルがよりクリーンな電気自動車用バッテリーのカギとなる」はこちら

古屋将太
古屋将太

認定NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)研究員。デンマーク・オールボー大学大学院博士課程開発・計画プログラム修了、PhD(Community Energy Planning)。地域参加型自然エネルギーにおける政策形成・事業開発・合意形成支援に取り組む。著書に『コミュニティ発電所』(ポプラ新書)。共著に『コミュニティパワー エネルギーで地域を豊かにする』(学芸出版社)。

エネルギーの最新記事