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日本政府、石油国家備蓄の初放出を表明 残量は約140日分で、米政府の要請を受け異例の措置を決断

日本政府、石油国家備蓄の初放出を表明 残量は約140日分で、米政府の要請を受け異例の措置を決断

2021年11月24日

11月24日、岸田首相は、国内にある石油の国家備蓄の余剰分を市場に放出する方針を表明した。以前から呼びかけを続ける米国バイデン政権からの要請を受けた形で、米国政府は11月23日、今後数ヶ月間にわたり、日本を含む複数の国と協調しながら、石油を放出することを発表している。日本の国家備蓄の放出は初めてで、国内に備蓄されている約145日分(9月1日時点の残量)の内、まずは数日分を放出してから追加を検討すると報道されている。

また、岸田首相は今回の方針に加えて「産油国への働きかけや、農業、漁業などに対する業種別の対策」、「ガソリン価格の急激な値上がりへの激変緩和措置」を行っていくことも表明した。ガソリン価格は今月10日時点で、10週連続で値上がりするなど、原油価格高騰の煽りを受け続けている。

なお、石油の放出量や時期については未定とされており、報道陣に対して、萩生田経済産業相への確認を求めた。

石油の国家備蓄は、本来、災害など安定供給に支障が出た時に備えているもので、原油価格の高騰を受けたガソリン高抑制のためというのは、異例の措置。政府は、法律で定められた最低限必要な量を上回る分は、放出しても問題ないと判断した模様だ。これについて岸田首相は「現行の石油備蓄法に反しない形で国家備蓄の一部売却することを決定いたしました。」と語っている。

石油の備蓄放出自体は、2011年6月にリビア情勢の悪化を受け、民間備蓄から放出したのが最後で、国家備蓄からの放出は今回が初めてとなる。

今回のきっかけとなった米国政府からの石油放出の呼びかけは、過去数週間にわたり、エネルギーの主要消費国に要請してきたもので、他に中国、インド、韓国、英国も協調して放出することとなる。各国が共同で石油備蓄を放出することで、原油価格を抑制することが狙いだ。

米エネルギー省は12月以降、南部テキサス州などの備蓄拠点から計5,000万バレルを放出する予定。3,200万バレルは将来的な返却を前提に企業に貸し出し、残る1,800議会が承認済みの売却分を速やかに実施すると報道されている。

また、米中が共同で石油備蓄を放出するのは初めてで、対立しあう両国ながら、原油高が続けば両国経済に同様に悪影響をもたらすため、足並みをそろえた形だ。

米国は石油輸出国機構(OPEC)やロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」に原油の増産を求めてきたが、「需要が弱い」という理由から、産出国側に増産を請けてもらえずにいる。OPECのバルキンド事務局長は、11月16日、原油の需給について、早ければ12月にも供給過剰になり、来年もその状態が続くとの見通しを示していた。

今回の備蓄の放出については、いったん原油が値下がりしたとしても効果は長続きしないとの見方もある。OPECプラスが増産を抑える形で備蓄放出に対抗する可能性もあり、需給のひっ迫が解消して、価格抑制につながるかどうかは疑問視もされている。

ヘッダー写真:切干大根, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

 

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