前回のオークションで問題となったことの1つは、容量市場に参加するための登録をしたものの、応札しなかった電源や小さい容量で応札した電源がそれぞれ1,467万kW、535万kWもあったことだ。しかし今回はそれぞれ415万kW、393万kWとなっており、とりわけ応札を回避した電源の減少が目立つ。
応札回避もまた、約定価格のつり上げのためではないかという疑念がもたれていた。
今回は、応札した安定電源が300万kW以上も増加していることから、発電所の休廃止が進む一方で、残した電源については応札回避はなるべく避けるという判断がされたということになる。
もっとも、応札価格が9,372円/kW(上限価格の3分の2)の電源は524万kWあった。半分が石油火力であり、残りがLNG火力と石炭火力だ。これらは今後、休廃止の対象となっていくのではないだろうか。
このように見ていくと、容量市場を通じて行われていることは、電源の選別であるということがわかる。約定価格を基準に残す電源と休廃止する電源に分けられるということだ。もちろん、容量市場は単年度のものであり、次年度に落札する可能性もある。
その上で、まだまだ課題は残るのではないだろうか。
第1に、今回は前回よりも大幅に約定価格が下がった。小売電気事業者にとって約定価格は低いに越したことはないだろうが、発電事業者にとっては約定価格の変動は事業計画の安定を損なうことになる。その結果、今後も供給力を維持できるのかどうか。
第2に、石炭火力を必要以上に残すことにつながっていないかどうか、今回も検証されるべきだ。確かに、多少の石炭火力の退出は見られた。だが、その一方で、容量市場で本質的に必要とされるのは、拡大する再エネに対応した、調整力となる電源だ。今回のオークションでは調整機能を持つ電源の約定容量は1億2,817万kWだった。その一方で、調整機能を持つ非落札電源は1,087万kWにものぼる。発動指令電源の上限とあわせて、あらためて検討すべきことだろう。
こうしたことに加え、中長期的にはLNGなどの需給がタイトとなることから、非常用の石炭火力の維持なども、電力量(kWh)の確保のために必要となるが、容量市場はそうした課題に対応しているのかどうかも問われてくるだろう。
容量市場に対しては、現在もなお批判がある。そうした点も踏まえ、供給力確保のためにはどのような制度であるべきなのか、引き続き検討が必要だ。
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