日本ガイシは11月12日、産業排ガス向けのCO2分離膜を開発したと発表した。産業排ガスを模擬した試験で従来のCO2分離用DDR型ゼオライト膜の約5倍のCO2分離精度を達成した。
DDR型ゼオライト膜は、同社が開発した世界最大級のセラミック製CO2分離膜だ。従来のCO2分離用DDR型ゼオライト膜は、分子の大きさの違いで分離するため、CO2より大きな分子であるメタンが主成分の原油随伴ガスや天然ガスでは、容易にCO2を分離することが可能になるという。
出典:日本ガイシ
一方で、産業排ガスの主成分はCO2と分子の大きさが近い窒素や酸素のため、従来のDDR型ゼオライト膜では高い精度で分離することが難しいという課題があった。
新たに開発した産業排ガス向けのCO2分離膜は、分子の吸着性(親和性)の違いを利用してCO2を窒素や酸素から分けることで、従来のDDR型ゼオライト膜の約5倍のCO2分離精度があることを確認。
セラミックスは苛酷な条件下でも使用できるため、高温の産業排ガスをターゲットにさらなる分離性能の向上などに取り組み、実証試験を経て2030年の実用化を目指す。
また、同社は同日に、脱炭素化関連の研究開発や事業関連の投資に使途を絞った同社初の「グリーンボンド(環境債)」を12月に発行すると発表した。発行年限は7年、発行額は100億円の予定だ。
同グループは今年4月に策定した「NGKグループ環境ビジョン」で、2030年度のCO2排出量を2013年度比50%削減し、2050年度までにネットゼロを目指すことを掲げている。
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