三菱自動車は商用EVをテコに国内での存在感を発揮できるか、株価は300円前後で今後の状況を静観中 【脱炭素銘柄分析】 | EnergyShift

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三菱自動車は商用EVをテコに国内での存在感を発揮できるか、株価は300円前後で今後の状況を静観中 【脱炭素銘柄分析】

三菱自動車は商用EVをテコに国内での存在感を発揮できるか、株価は300円前後で今後の状況を静観中 【脱炭素銘柄分析】

2021/07/15

三菱自動車が2023年度に200万円以下の商用EVを発表すると6月25日の日経新聞が一面で報じた。国内のEV市場は、トヨタが量産EVの第一弾を投入する2022年以降に急速に立ち上がる可能性がある。かつて世界初の量産型EV「アイ・ミーブ」を開発した三菱自動車は、今後国内EV市場で存在感を発揮できるのか、2月以降300円前後で様子見状態の株価とともにその行方が注目される。

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三菱自動車が2023年度に200万円以下の商用EV発売と報じられる

6月25日の日本経済新聞は一面トップで、三菱自動車<7211>が2023年度に200万円以下の商用EV(電気自動車)を発売と報じた。既に同社が発売し郵便局の配達車両として街中で見かける「ミニキャブ・ミーブ」について、電池などを変更して200万円以下とする内容であった。

佐川急便が、2022年9月からEVベンチャーASFが開発して中国で生産される軽商用EV7,200台を導入すると発表しており、国内自動車メーカーの商用EVの今後の取り組みが注目されていた。既に商用EV「ミニキャブ・ミーブ」を発売済みの三菱自動車が、本格的な普及に向けて次の一手を打つことになりそうだ。

2022年から国内でEVが急速に普及か?

国内自動車メーカー各社のEVへの取り組みを見ると、2022年以降に国内でも急速にEV市場の立ち上がりが予想される。各社のEVへの取り組みは下記である。

三菱自動車世界初の量産型EV「アイ・ミーブ」(2021年3月に生産終了)の後継機種を日産と開発中。また2023年度に200万円以下の商用EVを発売とも報じられる。
トヨタ2025年までにEV15車種の投入を表明。2022年に第一弾の量産車を投入する計画。
ホンダ2040年にEVとFCV(燃料電池自動車)を100%とする計画。昨年10月にEV「Honda e」を発売しており、2024年に軽自動車のEVを発売予定。
日産EV「リーフ」を既に発売し、EV仕様の「アリア」も本年6月から発売開始。今後英国工場でのEV投資を本格化させる。
マツダ同社では初となるEV「MX-30 EV MODEL」を本年1月に発売。
スバル2022年にEV「ソルテラ」を発売予定。
スズキ、ダイハツ資本提携するトヨタとともに軽自動車のEV共同開発が報じられる。

既に国内自動車メーカーの多くはEVを発売している。三菱自動車は世界初の量産型EV「アイ・ミーブ」を本年3月に生産終了したが、昨年から今年にかけてホンダ、マツダ、日産が新たなEVの発売を開始しており、国内自動車メーカー全体としてEVの取り組みは確実に広がり始めている。

今後は2022年にトヨタがEV量産車の第一弾を投入し、スバル(トヨタと資本提携)も同様に新型EVを発売、2023年に三菱自動車が200万円以下の商用EV発売、2024年にホンダが軽のEV発売と続く(報道ベースも含む)。国内ではトヨタがEVの販売を開始する2022年がEV本格普及元年となる可能性がある。


軽商用EV『ミニキャブ・ミーブ』はタイでも実証実験がおこなわれる

三菱自動車は東南アジアなどの海外中心の販売、国内は豪州・NZ並みの販売台数に留まる

これまで経営面で紆余曲折あった三菱自動車だが、現在同社の販売の主力は海外だ。特に東南アジア地域が販売の主力エリアである。販売エリアベスト3は、東南アジア→欧州→北米の順であり、国内の販売台数は豪州・NZと同等のレベルに留まる。

国内事業について三菱自動車は日産との協業(OEMなど)に舵を切っている。3月で生産終了となった「アイ・ミーブ」の後継機も水島工場(岡山県)において、日産との共同開発が報じられている。

「アイ・ミーブ」で世界に先駆けて量産型EVを開発した三菱自動車だが国内の営業力などの問題があり、今後のEV戦略も商用車や日産との協業などの独特の取り組みが予想される。

三菱自動車の株価推移、300円前後で今後をうかがう

直近10年の三菱自動車の株価推移を見ると、2013年5~6月には1,500円台付近に位置していた。しかしその後は下落が継続。2020年のコロナショック後も株価はダラダラと下落が続き、2020年11月には200円割れに至った。ただし2021年に入り上昇して2月には300円を回復、以後は現在に至るまで300円を前後している。

三菱自動車は2020年3月期、2021年3月期と2期連続で最終赤字を計上した。よって過去2期は予想PERの算出はできない。

同社の目下の課題は2022年3月期の計画、売上高2兆600億円、営業利益300億円、当期純利益100億円、を達成して黒字化できるのか、という点にある。株価は300円前後で横ばいであり、2022年3月期の黒字化及び計画の達成を見守っている状態だ。

三菱自動車は小型EVをゲームチェンジャーの切り札として有効活用できるのか?

自動車業界において小型EVはゲームチェンジャーの切り札となる可能性がある。一足先にEVが普及期を迎えた中国では、小型EVで様々な企業が立ち上がりを見せている。世界初の小型量産EVを開発した三菱自動車にとり、EVは得意分野である。ただし弱い国内営業力など様々な課題もある。

三菱自動車はこれまで「アイ・ミーブ」で蓄積したEVの技術やノウハウを活用して、今後立ち上がる国内EV市場で存在感を発揮できるのか。国内EV市場における三菱自動車の行方とともに株価の行方も注目される。

石井 僚一
石井 僚一

金融ライター。大手証券グループ投資会社を経て個人投資家・ライターに転身。株式市場や個別銘柄の財務分析、為替市場分析を得意としており、複数媒体に寄稿中。過去多数のIPOやM&Aに関与。ファンダメンタルズ分析に加え、個人投資家としてテクニカル分析も得意としている。

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