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太陽光発電の新たな適地、ソーラーカーポートに新規参入続々 各社の特徴を一挙紹介

太陽光発電の新たな適地、ソーラーカーポートに新規参入続々 各社の特徴を一挙紹介

2022年04月15日

風力、地熱、バイオマス……。脱炭素へと邁進する世相の中で、様々な再生可能エネルギーを耳にすることも多くなったが、その代表格はやはり太陽光発電だろう。

一方で、国土が狭いうえに山地が多い日本は、太陽光発電の適地が少ないことが問題視されている。しかも再エネ適地の電力系統には空き容量が少なく、送電に支障をきたしている。

こうした状況の中で現在盛んになっている動きの一つが、送電容量に空きのある地域内でも広い面積の確保が可能な駐車場を太陽光発電所にする動き——ソーラーカーポートだ。

ソーラーカーポートの概要について

ソーラーカーポートは、カーポートの屋根として太陽光発電パネルを用いる「太陽光一体型カーポート」とカーポートの屋根上に太陽光発電パネルを設置する「太陽光発電搭載型カーポート」の2種類に分けられる。いずれにしても、電力需要施設の敷地内に存在する、駐車場という空間の有効活用がその特徴だ。

環境省のホームページでは、岡山県にある村田製作所の電子部品工場に設置された、太陽光パネル8,010枚、発電量2,403kWのソーラーカーポートなどが紹介されている。最近では3月7日に鉄鋼・建材系商社の阪和興業がソーラーカーポート事業への参入を表明したばかりだ。


出典:オムロン

太陽光発電の適地を見出す取り組みは、湖や貯水池を対象とした水上太陽光発電などもあるが、駐車場に太陽光発電施設を設置することには単純な発電以外の意味もある。

当然ながら駐車場は湖や貯水施設と異なり、個人や零細・中小企業でも所有しているため、適地の候補が多く残っている。個人レベルで売電収益をあげ得るのは大きな魅力だ。その他にも、建築物の屋根上と比較して定額で導入できる点や、熱に弱い車の日差し除けや雨をしのぐ屋根として機能し得る点等、細かい利点もある。

また、駐車場本来の目的とのシナジーという点で、EV(電気自動車)の充電に適しているというのもある。昨年11月には、茨城県つくば市にて、テスラ社のEV用に開設された充電スタンド「つくばスーパーチャージャー」においてソーラーカーポートが導入された。4台分の駐車、充電スペースにおいて定格16kWの発電能力を備えているという。

とはいえ、ソーラーカーポートの導入に際して注意すべき点は多々ある。第一に、ソーラーカーポートは地上設置型の太陽光発電設備と異なり、パネルの下での駐車場用途があるため建築物に該当することとなり、なおかつ条件によっては、確認申請の必要な特殊建築物として扱われる場合もあるのだ。そのため、基準風速や垂直積雪量、地盤条件等を踏まえた建築基準法上の構造安全性が必要とされている。

ソーラーカーポート建築の流れ

流れ実施事項・項目
プランニング・現場確認
*詳細設計・地盤調査
*建築確認申請書類作成
(申請書類・図面・構造計算書等)
*建築確認申請書類提出
*検査機関・自治体による確認
確認済証受領・工事着工
ソーラーカーポート建築工事
完了検査受検・検査済証受領・引渡し

*2〜5は概ね2〜3ヶ月要する(内、5は原則30日間)

出典:環境省HPをもとに編集部再編集

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高橋洋行
高橋洋行

2021年10月よりEnergyShift編集部に所属。過去に中高年向け健康雑誌や教育業界誌の編纂に携わる。現在は、エネルギー業界の動向をつかむため、日々奮闘中。

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