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太陽光発電の新たな適地、ソーラーカーポートに新規参入続々 各社の特徴を一挙紹介

2022年04月15日

各ソーラーカーポート事業者の取り組みについて

前ページでは、ソーラーカーポートのメリット・デメリットについて述べたが、導入を推し進める企業は年々増えており、初期投資費用や税金関係の対策も進められているようだ。始める際のハードルを下げるために当たって、各社の努力が伺える。

ここでソ—ラーカーポート事業に乗り出す各社の特徴を簡単に見ていきたい。


出典:中部電力ミライズHP

中部電力ミライズと新電力のLooopは、昨年7月から100台以上の大規模駐車場をターゲットに、初期負担ゼロ円でのソーラーカーポート導入を売り出している。わずかな面積から始められるのがソーラーカーポートの特徴だが、大規模駐車場に狙いを定めるだけあって、設置容量は300kW以上となり、発電した電気は自社で使用可能となる。そしてその間、顧客は使用電力量に応じたサービス利用料金を支払うという仕組みだ。また、同社は太陽光発電設備の架台の形にも特徴がある。通常の4本脚と違って2本脚の支柱となっているため、駐車する際の邪魔になりやすいというソーラーカーポートの難点を解消している。

雨の日も買い物がしやすく、導線を邪魔しない屋根付き駐車場によって集客力の向上が見込まれる。

実質再エネ100%電力「しろくま電力(パワー)」を展開する新電力のafterFITは、昨年10月に株式会社ケーヨーと、自家消費型ソーラーカーポートを使ったコーポレートPPAの契約を締結した。展開するチェーンホームセンターのケーヨーデイツー八街店(千葉県八街市)の駐車場にて、屋根付きの太陽光発電所を設置していくとのことで、総発電容量はおよそ250kWとなる。

afterFITの強みは2種類ある。1つは、中部電力ミライズやLooopと同じように2本脚で設計された架台のおかげで、駐車時の導線を邪魔しない点。雨除けと自家発電の両立がここでも可能となる。

先述のケーヨーデイツーのようなホームセンターでは、雨の日に売上が落ちる傾向があるため、移動を妨げない屋根付き駐車場の意義は大きいという。

2つ目が、ドローンとAIを組み合わせてソーラーカーポートの適地を探す技術だ。いくら駐車場が適地にふさわしいといっても、その中でもより大きくて発電に適した土地がある。そうしたものをドローンとAIを組み合わせた独自技術で探し出せるというのが、同社の強みだ。「⽇本全国を500m2四⽅の衛星データで152万区画に分け、様々なDATAから独⾃のAI技術にて発電所適地を抽出し収⽀判断を解析。適地を炙り出します」と打ち出してアピールを行った。

同社はこの技術を用いたことによって、ホームセンターの駐車場が持つポテンシャルに注目。ケーヨーデイツー八街店のような事例につなげた他、同社側から地権者に、土地活用の提案を行っていくという。


出典:中国電力HP

中国電力は、4月4日から「完全自立型EVシェアリングステーション」の実証事業に取り組みだしている。

この事業は、電力系統から完全に分離・独立したソーラーカーポートと蓄電・制御システムを一体化し、太陽光発電の電力だけでEVステーションを運用し、さらにカーシェアリングサービスを組み合わせるという世界初の試みとなっている。この試みが進むことによって、電力系統からの電力供給が困難な場所や電気工事の施工費用が高額となる場所などにおいても、EV導入の選択肢の拡大を推し進めていくことが可能となり、EV普及の一助となるだろう。

実施期間は2022年4月から5年間を予定。ソーラーカーポートとしての発電容量は11.88kWであると共にその電力を運用するための蓄電池容量は合計で38kWh(10kWh×3基、8kWh※2×1基)。用いるEVは日産のリーフとなっており、非常用コンセントは8口となっている。


出典:インリー・グリーンエナジージャパンHP

インリー・グリーンエナジージャパンが売りとするのは耐火性能だ。同社が昨年8月から販売開始した屋根一体型のソーラーカーポート「MOENZO(燃えんぞぅ)」は国土交通省の定める「飛び火認定(DR)」を取得しており、防火地域への設置が可能となっている。

飛び火認定とは、建材などの火災時における飛び火への耐火性能を認めるもので、これにより市街地や駅周辺など建物が密集した地域にも設置できるのだ。

MOENZOは自動車1台置きから中・大規模駐車場にまで対応可。太陽光パネルの搭載に関しては、2台置きの場合で18枚/6.12kW、10台置きの場合78枚/26.52kWと公表されている。また、積雪への耐久性に優れた積雪タイプも展開されている。


出典:大和リースHP

ここまで紹介してきたソーラーカーポートの事例は、平地におけるものばかりだったが、大和リースは昨年8月から、最上階の屋根部分に太陽光発電設備を搭載した立体駐車場を販売開始している。あくまでモデルプランだが、延床面積8,986.87m2、(建築面積2,057.20m2)、駐車場階数が5層5段、車室数が297台の立体駐車場で、太陽光パネルの出力が約210kW、年間発電量が22万5,000kWhとなっている。

同商品については年間で10件、売上ベースで50億円の販売を目指す方針だと報道されており、販売から施工・メンテナンス・運営に至るまでをワンストップで行う同社の強みを生かす目論見だ。

駐車場と太陽光発電ということでいま注目を集めているのは、路面型太陽光発電だ。日本では、MIRAI-LABO(ミライラボ)が道路舗装最大手のNIPPOと共働し、特殊なプラスチックで太陽光発電パネルを覆った太陽光路面発電パネルの開発に取り組んできた。

2月16日には、東京建物グループの日本パーキングが、MIRAI-LABOと資本業務提携を結んだことを発表。MIRAI-LABOの太陽光路面発電パネルを、日本パーキングが運営する八王子市内の立体駐車場及び平面駐車場の2ヶ所で導入して実証実験を開始した。精算機や照明など、駐車場運営に必要な電力を太陽光発電パネルで賄うという。

その他に、「トモシエ」を展開するGCストーリー株式会社が、ソーラーカーポートを購入した顧客に対して、購入金額200円につきANAのマイルを1マイル積算するサービスを開始する等、他業界との連携も含めて様々なサービスが模索されている。

ソーラーカーポートの補助金制度について

ソーラーカーポートの普及に向けては、政府も動く。3月から、「令和3年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」の補正予算の公募が開始されたが、その中には「建物における太陽光発電の新たな設置手法活用事業」も含まれる。内容は、ソーラーカーポートについてコスト要件を満たす場合に設備の導入支援を行うというものだ。民間事業者や団体が対象となり、補助率は設備導入費用の1/3となる。一次公募は3月18日から4月28日までとなり、予算額に達した場合は二次公募以降は行われない。

 

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高橋洋行
高橋洋行

2021年10月よりEnergyShift編集部に所属。過去に中高年向け健康雑誌や教育業界誌の編纂に携わる。現在は、エネルギー業界の動向をつかむため、日々奮闘中。

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